「創発する学び」について考える @PCカンファレンス
2008.08.06 Wednesday 23:51
井庭 崇
image[PCC0.jpg]2008年8月6日(水)?8日(金)に開催された「2008 PC Conference」の初日に参加した。PCカンファレンスというのは、CIEC(コンピュータ利用教育協議会)と全国大学生活協同組合連合会が共同開催する教育系のカンファレンス。今年は、「創発する学び」をテーマに、慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)で開催された。
基調講演(佐伯先生)
image[PCC1.jpg]最初の基調講演は、佐伯胖(ゆたか)先生(青山学院大学社会情報学部教授, CIEC会長)の講演だ。僕は昔から佐伯先生の本がすごく好きで、実際かなり影響を受けているので、講演をとても楽しみにしていた。講演タイトルは、「学習学ことはじめ ?勉強から学びと共感へ?」。
この講演で、佐伯先生は、“学習学”(学び学)という分野を提唱した。これまで「学び」(学習)については、「教育学」で主に研究されてきたが、それとは異なるアプローチで「学び」に迫っていこうというアプローチを提唱したわけだ。
「学び」は教育に従属するものではない。「教える」という意図的行為に拠らなくとも、人間は学ぶ。そうであるならば、「教育学」のように「教育」というジャンルにおいて「学習」を考えるのではなく、“学習学”というジャンルをまず設定し、そのなかで「学び」について考えるのがよいのではないか。こうして、人間の「学び」について明らかにし、「学び」を支援することを目的とする“学習学”が必要となるのだ。
“学習学”は、言葉的には似てはいるものの、認知科学における「学習科学」(Learning Sciences)とも異なる。学習科学では、学習について科学的な(特に認知科学的)な立場から考えるが、“学習学”では、いわゆる科学の枠を超えて、理論(学習論)、実践(学習実践)、臨床(学習臨床)から構成される。ここで提唱された“学習学”は、実は新しい考え方というよりは、これまで佐伯先生が言ってきたことを端的に言い表したものだといえる。しかし、端的に言い得た分、その論を知らない人にも伝わりやすくなったと思う。
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