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2005年04月21日

Studying Information Technology in Organizations

Orlikowski, Wanda J. and Baroudi, Jack J., “Studying Information Technology in Organizations: Research Approaches and Assumptions,”
【レジュメ】
この論文は1983年から1988年までに4つの専門誌に掲載された155の情報システム研究論文に対して、どのような哲学的仮定が用いられているかを調査・検討している。そこで、情報システム分野においては、実証主義的見解が支配的見解となっており、情報システム研究の多様性が不足していることを示している。続く2つのセクションで、解釈主義と批判主義について述べ、その2つの研究伝統を意識することによって、様々なタイプの社会調査の基礎となる仮定の多様性の理解を促進したいと考えている。

 Chuaの研究認識論の分類に従うと、実証主義では、演繹的な固定関係を前提とし、サンプルから理論的命題を計測可能な変数を用いて定式化することと、その理論命題を実験や観察を通じて検証することが行われる(1/4を示す「記述的な」研究は除く)。解釈主義では、自らを取り囲む世界との対話の中で、人々は主観的、相互主観的な意味を関連させるとされており、一般化を志向するのではなく事象のより深い構造を明らかにする。批判主義では、既存の理論への批判的アプローチや、既存の社会的習慣への弁証法的アプローチが行われる。

一)実証主義研究
西洋科学の論理実証主義に基づき、人間の行動が故意で合理的であるという意識が前提としている。人間と無関係に存在する客観的な物理的・社会世界を仮定し、そこを貫く一般駅名法則が存在し、それらは、客観的な、そしてその結果数によって表わされることができる構造を仮定してあるのである。初期条件が操作可能であれば、期待していた結果が現れる機械的、理論と実践との関係が想定される。しかし、一般法則は求める結果、人間の個々の行動による影響の歴史的で文脈、社会文化的文脈での無視につながります。これらの影響を無視すれば、情報システム現象は不完全なものとなることが短所としてあげられる。
二)解釈主義研究
世界を人間の意識および主観的な経験の拡張プロセスとしてみなし、(研究者を含めて)社会集団のメンバーが、どのように現実に対して働きかけるかを理解し、メンバーの理念および意図がそれらの社会活動を構成する助けとなったかを示すことを目標としている。異なる社会現象を結ぶ主観的要因を発見しうるが、短所として、外部要因を調査しないこと、意図せざる結果の説明を省くこと、系統的な組織や社会での構造的な矛盾に着目しないこと、歴史的変化に対する説明を無視すること、があげられている。
三)批判主義研究
 組織は、それらが作動し、それらが一部分それを構成する産業、社会および国家に分離されることはないという歴史的立場より、全体的に観察対象を批判的に評価することを可能とする。欠点としては批判主義研究者は、多くの場合自分の概念および理論モデルを十分に非難しないことであり、及びこの研究方法が重文に確立されるに至っていないということがあげられる。

【コメント】
一つの研究を行う際には、7の実証主義的要素(客観)を集め、2の解釈主義的要素(主観性)を加え、1の批判的要素(手直し)あたりをするとバランスが良いという感じでしょうか。「記述的な」研究の具体的意味がわからず、なぜ省かれたのかよくわかっていません…。

脇谷康宏です。投稿、遅れて申し訳ありません。
今から向かって、印刷したいと思います。

投稿者 student : 2005年04月21日 08:55

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