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2005年05月19日

Strategy in Studies of Information Systems," MIS Quarterly (11:3), 1987,

本論文では、情報システムの分野におけるケーススタディー戦略を定義、議論し、具体的な論文について評価することで、ケーススタディーにおける枠組みを与えようとしている.
 ケーススタディーの定義として筆者は、“複数の手法に基づいて情報を収集し、現実事象を観察するもの”としている. ケーススタディーにおいては研究者が客観的立場を取り、リサーチクエスチョンは研究の前に特定されており、この点で著者の経験から指摘を行うアプリケーションディスクリプション、問題解決と同時に変化を観察するアクションリサーチと区別されている。
 具体的な4つの論文について、長所と短所を挙げ、留意点と指針を明確にしている.指針に対照した批評から得られた留意点としては、ケーススタディーにおいて適した分析単位を決定することが必要であり、リサーチクエスチョンの妥当性を事前に検証し、ゴールを追試や探索など明確にする必要がある.それに伴って、調査対象の選定は偶発から、結果の観察、因果関係の仮説の検証へと戦略的に行われなければならないといった点である.
 また、長所から導かれた結論としては、ケーススタディーは情報システム研究に適しているということである.これはケーススタディーが探索的、仮説確認アプローチに適当であることから、変数が制御可能な環境ではなく、実際の企業という現実に発生している事象から理論を一般化できる点、“なぜ”、“どのように”という問いへの答を導く点、技術革新のスピードが著しく、先行研究が少ない分野において有効である点からいうことができる.情報技術分野において技術に対する関心から、組織に対する関心へと移行する流れからもケーススタディーは有効な調査方法の一つとしながら、方法論における留意点も喚起している.
■ コメント
ケーススタディーのケーススタディーともとれるような具体例から注意点を学ぶことができた。情報技術における関心が技術面から組織面に移行しているとの言及に関しては先生が技術を設置することから場を設計することへと移行していくべき(?)とおっしゃっていたのに重なり、ケーススタディーは重要な研究手段となることを再確認した.指摘される客観性や研究課題、過程の設定については手法に沿うことを心がけるべきだが、社会科学においては事実の証明よりもひとつのフレームワークを与えることが重要となるのではないかと感じた.(小池由理)


投稿者 student : 2005年05月19日 10:02

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