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2005年05月26日

The Social Construction of Facts and Artifacts


  この論文に述べられているのは、科学技術の分野と社会構成主義の統合化についてである.科学的と技術は相互に影響を及ぼしながら発展し、技術と社会的要請の相互的を論じる社会的構成主義の立場から前述の議論に至る.ここでは自転車の技術の進歩の歴史を例にとり、統合的な社会構成主義者のアプローチは分析的でもあり経験的でもあるという結論に展開している。方法として統合化された社会構成主義のための2つのアプローチである科学知識の社会学における相対主義的実証プログラム(EPOR)と、技術社会学における技術の社会構成( SCOT )を概説し、これら2つの類似性を示すことで、その統合としての社会構成主義の方法を示そうとした。
 EPORはハードサイエンスにおける科学的知識の社会構造を明らかにしようとする。
SCOTは人工物の技術的発展のプロセスが変異や選択の交換として把握され、線形モデルに対する非線形モデルが述べられる。共通するのは技術発展が何らかの環境に依存し、自由度を持つという点である.具体的に自転車の技術発展において社会集団により解釈が異なり、技術的要請が異なることでおこる相互作用に起因することが述べられた.つまり、技術発展は社会学によって説明できるものである.

この論文では技術システムの進化のメカニズムについて論じられている.具体的にはエジソンやベルを例に分析している。技術システムは、社会的に構築され、社会を形成するものという点で、自然のシステムと対になると著者は定義する。技術システムには、物理的な人工物のほか、物理的でない人工物も含まれ、これらは相互作用の中で形成される.よって、システムの各コンポーネントの特徴はシステムに由来するといえる。
 技術システムの発展は発明、発展、革新、技術移転、成長・競争・結合といった段階的に進む。これらの段階は必ずしも連続的なものではなく、重複したり後戻りしたりすることもあり、それぞれの発展段階ごとに適するシステムビルダーが必要となる。そして、システムの成熟とともに技術システムにはスタイルとモメンタムが備わってゆく。
■ コメント
化学の分野に身を置いていた頃、最も疑問に思ったのは、そこで作り出された技術がどのように社会においていきるのか?ということであった.私という人間では科学という系の閉じられたもの、抽象度が高いものだからこそ得ることができた考え方のノウハウが蓄積されるが、ある意味でゲームのようなものである.私も含めて理系にありがちな、社会と切り離されてしまうという弱点を解決するヒントが見いだせるかもしれない.(小池由理)

投稿者 student : 2005年05月26日 09:41

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