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「ガマン命」って背中に彫っているネクラな健さんみたいな人ってさー、なぜかホレちゃうのよねー
我慢
これはお父さんが大好きな言葉です。我慢さえできれば、それだけで良い子になっ た、といわれます。何のために我慢するのか、そんなことは愚問です。なんでもいいん
です、ただ我慢することが大切なんです。我慢できる体質を造ることが、人生を価値あ るものにする前提条件なんです。いつでも、どこでも我慢、我慢。この二文字さえマス
ターすれば、あなたの人生は一応合格です。
確かに、我慢しなければ生きていけなかった時代がついこの間まで、延々と続いてい ました。少し寒くなるだけで、路上に餓死者がでました。そんな時我慢は生きるために
不可欠な生活の知恵でした。そうです、お父さんは賢明な発言を繰り返していたので す。
がまん は まんが
でも、もういいのではないでしょうか。泣けば、「男の子でしょ、我慢しなさい」と 説得するよりは、ポッキーを口の中に放りこんで、「ほら、おいしいでしょ」でいいん
です。子供は、これですぐに泣き止みます。我慢は、我慢せざるをえない状況でしか効 果的ではないのです。だから昔の母親は我慢強くて、今の母親はだらしない、というの
は完全に間違いで、その差は単に状況の相違にすぎません。もう我慢は漫画の時代で す。我慢する姿は、もはや冗談でしかありません。
『まんが も がまん』という時がありました。スポーツ根性物語の全盛期の話しで す。それは東京オリンピックから万国博までのことで、もう日本昔話の世界です。サク
セス・ストーリー、昔はよかった、と懐かしんでください。団塊の世代の方々に贈りま す、あなたは我慢の分かるラスト・ランナーです。
『めぞん一刻』というマンガがありました。見るたびに、勝てないなと思い、そんな 勝てないと思うこと自体に古いな、と考えてしまい、そんなことを考えることがそもそ
もダメだなと、夢幻(無限)後退のループに入ってしまいます。
ぼくは、まだ我慢が好きな人です。まんがだ、と頭では理解してますが。
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