研究プロジェクトB(2) (神保 謙)
「リージョナル・ガバナンスの新しい展開」
2007年度春学期 火曜日5時限
科目コード: 00102/2単位
カテゴリ 1.研究プロジェクト(学部)
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【研究会の目的】
地域主義を敢えて「ガバナンス」という概念を用いて捉えなおさなければならないのは、地域主義そのものが複雑化し、多義的な意味をもつようになっ
てきたからに他なりません。多様な地域主義の形態をスクラップし、それぞれの力学と作用反作用、重複と補完を整理し、全体の統治のあり方を考える、それが 「ガバナンス論」が提供する視角です。
この視角は、近年不思議なことに、経済分野と政治・安全保障分野に連動するダイナミズムとして観察することができます。経済においては80年代の 「開かれた地域主義」から、複雑な相互依存に呼応した新たな協力関係(例えば二国間FTA/EPAの形成)が生まれてきています。また政治・安全保障分野 でも、領域・空間横断的な連携(例えばPSI、対テロ協力など)が活発になってきました。
本研究会では、近年の「リージョナル・ガバナンス」の新しい展開に注目し、文献購読・個人研究(グループでも可)を行います。自らが@どのような 「地域」「準地域」「機能的地域」を研究対象として扱うのか、Aあるいは自分の問題領域はそれぞれの地域概念とどのように関係しているのか、Bそれらをい かなる「ガバナンス」の形態としてとらえるのか。これが個人研究のテーマ設定の重要な指標になります。
【研究会の内容】
研究会では、まず第1回に自己紹介とみなさんの問題意識を紹介していただきます(履修希望者は第1回研究会には、かならず出席してください)。序
盤は外部講師(政策担当者・研究者等)を招聘と、文献購読を通じて本テーマに関する問題意識を深めた後、個人・グループ報告を行います。
2・3年生は学期末にタームペーパー(6000字程度)、4年生は卒業論文(12000字以上)を作成していただきます。優秀なレポート・論文は、研究会優秀論文として湘南藤沢学会に登録するほか、外部への発表の機会も検討します。
*2007年度春学期は火曜5限を予定しています
【評価方法】
@ 討論・輪読・グループワークへの積極的参加(必須)
A 個人レポート
【履修条件】
3月20日までに、事前の履修希望メールを出してください(もしそれ以降に閲覧した場合には
至急メールをください)。@「リージョナル・ガバナンス論A」「政策デザイン論A」(いずれも神保担当)を受講し
た学生が望ましい(必須ではありません) A 毎回の研究会に出席し、指定文献を丹念に読み、
グループワークに積極的に参加し、かつ個人レポートを仕上げる意欲のある方。また英語力に
自信があり、英語文献・論文を読みこなせる方(研究会では大量の英語論文・文献を読みます)。
【参考文献】
〔日本語文献〕
大庭三枝『アジア太平洋地域形成への道程―境界国家日豪のアイデンティティ模索と地域主義』(ミネルヴァ書房、2004年)
小島朋之編『21世紀の中国と東亜』(一藝社、2003年)
山影進編 『東アジアの地域主義と日本外交』(日本国際問題研究所、2003年)
森本敏編 『アジア太平洋の多国間安全保障』(日本国際問題研究所、2003年)
菊池努 『APEC:アジア太平洋新秩序の模索』(日本国際問題研究所、1995年)
村上泰亮 『反古典の政治経済学(上)(下)』(中央公論社、1994年)
〔英語文献〕
T.J. Pempel, Remapping East Asia: The Construction of a Region (Cornell
University Press, 2005)
David A. Lake, Governance in a Global Economy (Princeton University Press,
2003)
David A. Lake and Patrik Morgan, Regional Orders: Building Security in a
New World (Pennsylvania State University Press, 1997)
Edward L. Mansfield, Helen V. Milner, Political Economy of Regionalism
(Columbia University Press, 1997)
【課題】
履修を希望する学生は、3月20日までに@志望理由、A現在構想している個人研究テーマ名とその概要を800字以内にまとめ、kenj@sfc.keio.ac.jpまで送ってください。
【授業スケジュール】
第1回 オリエンテーション(自己紹介・関心領域の確認)
第2回 ゲスト講演(外務省・経済産業省担当者を検討)
第3〜7回 文献購読
第8〜13回 個人研究報告とディスカッション
【研究会合宿】
第8回〜13回までの期間に個人報告が終わらない場合、7月の週末に研究会合宿を実施する
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