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最新記事【2009年02月05日】

職場のメンタルヘルスケアを支援するシステムの提案
予防が難しい心の健康特有の問題を、電子メールで定量的に管理します。(特許申請中)

研究概要-電子メールコミュニケーションの解析によるストレス状態の可視化 (PDF)




職場のメンタルヘルスケアを支援する
近年,職場におけるメンタルヘルス問題に対する関心が高まっている.日本においては,2008年に経済産業省によって行われた調査によると,上場企業を対象とした健康増進活動に対する取り組み状況の意識調査では,従業員への健康増進活動で充実を図りたい取り組みとして82.5%の企業が「メンタルヘルス対策」の充実を図りたいとしている[1].2006年に厚生労働省は,労働安全衛生法第70条の2第1項に基づく指針として,「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を策定し,事業場におけるメンタルヘルス対策の適切かつ有効な実施を推進している[2].厚生労働省によると,近年,労働者の受けるストレスは拡大する傾向にあり,仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者が6割を超える状況にある.また,精神障害等に係る労災補償状況をみると,請求件数,認定件数とも近年,増加傾向にある.このような中で,心の健康問題が労働者,その家族,事業場及び社会に与える影響は,今日,ますます大きくなっており,事業場においてより積極的に労働者の心の健康の保持増進を図ることは非常に重要な課題であるとされている.

心の健康問題の特性
元来,心の問題は表面的に見えにくいものであり定量化の方法が課題である.メンタルヘルス問題から労働者を守るためには,一人ひとりを相互に注意深く見守っていくことが大切であるとされる.一方で,健康に関する情報は,個人のプライバシーに触れるため,個人情報の保護への配慮が極めて重要である.職場という,仕事をするために最適化された環境では,労働者相互の健康意識向上に依存し問題解決を期待するには限界がある.また,個人管理に依存する健康情報保護では,心の健康問題に対する誤解や偏見の不安がある.

電子メールで心の健康を定量的に管理
本研究では,電子メールコミュニケーションという日常的なコミュニケーション環境から,メンタルヘルス問題の予防につながるストレス情報を個人単位に抽出する方法を探究した.本研究の成果をITシステム化し健康支援へ利用することで,健康増進活動へのコストパフォーマンスを向上し,一人ひとりの心の健康問題を注意深くケアできる.メンタルヘルスに問題が生じる兆候をとらえ早期発見することで,労働者の健康増進に寄与し,企業においては損失およびリスクを低減し労働生産性の向上を支援するものである.ストレス情報を客観的な測定方法による評価ができれば,心の健康問題に対する誤解や偏見の減少につながり,その結果,問題に悩む人々への理解が深まり,安心して働きやすい職場環境への発展へと期待できる.

[1] 経済産業省.健康資本増進グランドデザインに関する調査研究報告書,Mar 2008.
[2] 厚生労働省.労働者の心の健康の保持増進のための指針,Mar 2006.

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