Tatsuo Minohara
1. 主題と目標/授業の手法など
授業の目的は、この授業では、主に形を観察し造形することに目的を置き、その表現手段としてのベクタグラフィックスを学んでいきます。ベクタグラフィックスによる造形に関してのさまざまなデザインのコンセプトやコンピュータ上での技術的な取り扱いを毎回の授業の前半で紹介し、後半はツールを使った実習を行います。造形には、基本的な造形手法以外に、レイアウト・構成なども含まれます。
実習としては、最初の方でデッサンを行ない、ものの形を観察することから始めます。そして、IllustratorとStrata3Dplusを使い、コンピュータ上のベクタグラフィックスのデザインの仕方を学び、造形に関しての知識を深めていきます。2次元グラフィックスから始まり、3次元グラフィックスによるアニメーションまで作り込みしたいと思います。ラスタ(ビットマップ)グラフィックスは、3次元モデルのテクスチャやデッサンなど、補助的に扱います。ですから、Photoshopなどは、メインで扱うことはありません。
進み具合で余裕があれば、アニメーションに対してAfterEffectsによる映像合成、Amapi ProによるCADの造形などを授業の中で採り入れたいと思います。Scale Modelingというサブタイトルがついていますので、3次元でのモデリングが行なえることを目標に授業を進めて行きたいと考えています。ただし、フィギュア系ではなく、工業製品や交通システムで使われている製品などをモデリングすることを主体として考えています。
また、Macintosh/Mac OS X上でデザイン過程を行なうということには、どのような愉しみ、意義があるのかについて、授業を通して考えていこうと思います。デザインは結果としての作品だけでなく、個人的にはその制作過程を通じた愉しみがあると考えています。それをこれからの仕事ということではなく、趣味としてあるいは生き方として学べるのではないかと思います。
2. 提出課題・試験・成績評価の方法など
出席を取ります。また、毎回課題を出します。出席と主に課題の提出状況で、成績をつけたいと思います。デザイン作品を取り扱うときには、ある一定期限までに一定以上の品質のものを出す必要があります。課題作品は、芸術的な部分は解釈の領域になりますので、期限までに出したか、指定した技法が使われているか、などで評価したいと思います。
3. 履修上の注意・その他
授業は5時限目に始まりますが、演習を含むため授業の分量が1時間では終わらない可能性が高いので、6時限目に授業をとることはさけてください。
毎回の課題の提出が、今まで行なってきた経験からみて、かなり大変であると思われます。予期している10倍の時間を、課題の作成に取られると思います。1週間がつぶれることを覚悟して下さい。学生の感想からすると、この秋学期はこの授業だけをやっていた感じになります。毎回の課題は、レポートが多くなる時期も続きます。
λ21のMacintoshを用いますが、自宅での課題作成のためには、MacintoshのPowerBookやiBookなどの手持ちのノート型コンピュータを用意した方が良いかも知れません。Windowsのノート型コンピュータの場合は、3次元グラフィックスに対応していない場合が多いので、授業では一切サポートしませんし、授業資料を別画面で見る以外の目的で授業に持ち込まないで下さい。
なお、途中で履修放棄するのであれば、最初から履修しないで下さい。課題を出さないで出席だけしている人もいますが、単位はでません。なお授業中に、宿題である提出課題をやっていた場合は、履修を辞めてもらいます。
4. 前提となる知識(科目名等)
デザイン言語総合講座、デザイン言語基礎論、情報技術基礎(情報処理)を受けているか並行履修してください。
5. 履修者数制限(予定人数および制限方法)
履修人数を制限します。
受入学生数(予定):約 20 人
選抜方法と時期:
第1回の授業でアンケートを配ります。また、簡単な作品製作をアンケートの中で行ないます。第1回の授業に来れない学生は、選抜致しません。作品評価と抽選を合わせた形で選抜を行ないたいと考えています。
6. 授業URL
7. 学生が準備するソフト・機材
Illustrator, Strata3Dplus, Photoshop, Painter, Pen Tablet(Intuos)
8. 教材・参考文献
コンピュータグラフィックス一般:
・マルチメディア標準テキストブック(入門編)、画像情報教育振興協会
・入門コンピュータグラフィックス(入門編CG)、画像情報教育振興協会
・デジタルイメージクリエーション(デザイン編CG)、画像情報教育振興協会
・技術編 CG標準テキストブック、画像情報教育振興協会
・今間俊博、CG入門セミナー、日経BP社
・渡部隆志・由良泰人・有賀妙子、デジタル@デザイン、秀和システム
デザイン一般:
・ドナルド・A・ノーマン、誰のためのデザイン?、新曜社
・永原康史、デザイン・ウィズ・コンピュータ、エムディエヌコーポレーション
・南雲治嘉 、視覚表現?コンピュータ時代のベーシックデザイン、グラフィック社
造形について:
・パウル・クレー、教育スケッチブック、バウハウス叢書2、中央公論美術出版
・カンディンスキー、点と線から面へ、バウハウス叢書9、中央公論美術出版
・藤村克裕、造形の基礎を学ぶ、美と創作シリーズ・京都造形芸術大学編、角川書店
・日本グラフィックデザイナー協会教育委員会編、ヴィジュアルデザイン1、平面・色彩・立体構成、六曜社
・朝倉直巳編・著、芸術・デザインの立体構成、六耀社
・朝倉直巳、紙、基礎造形・芸術・デザイン、美術出版社
デッサンについて:
・川口吾妻、ディジタルデッサン、画像情報教育振興協会(CG-ARTS協会)
・トム・ポーター、スウ・グッドマン、グラフィック・ノウハウブック、集文社
・A.ルミース、初めてのイラスト教室、エルテ出版
テキスチャ・文様・ダイアグラムについて:
・Owen Demers、Texturing & Painting、New Readers Publishing
・ヨーロッパの文様事典、視覚デザイン研究所
・日本・中国の文様事典、視覚デザイン研究所
・世界のサインとマーク、世界文化社
・林由男、マークの形と発想、グラフィック社
・ピータ・ウィルバー、マイケル・バーク、図説インフォーメーション・グラフィックス、MdN
タイポグラフィーについて:
・ヤン・チヒョルト、書物と活字、朗文堂
・ドリアン・フルティガー、活字の宇宙、ア朗文堂
・マンフレッド・クライン他、欧文書体入門、朗文堂
・ヘルマン・ツァップ、デザイン哲学、朗文堂
・白石和也・工藤剛・河地知木、文字の歴史とデザイン、九州大学出版会
・白石和也・工藤剛・河地知木、タイプフェイスとタイポグラフィ、九州大学出版会
・藤岡 康隆・ 和田 義浩、DTPフォント入門、エムディエヌコーポレーション
・成澤正信、Macで文字デザイン、グラフィック社
色彩について:
・川添泰宏、色彩の基礎、美術出版社
・色彩(改訂版:カラーコーディネータ入門)、日本色研事業株式会社
・カラーコーディネーションの基礎(3級公式テキスト)、東京商工会議所
・藤幡正樹、カラー・アズ・ア・コンセプト、美術出版社
レイアウトについて:
・ロビン・ウィリアムス、ノンデザイナーズ・デザインブック、毎日コミュニケーションズ
・ロビン・ウィリアムス、ノンデザイナーズ・Webブック2001、毎日コミュニケーションズ
実習で使うソフトウェアについて:
・Adobe Illustrator日本語版(MacFan Special/Mycomムック)、毎日コミュニケーションズ
・中村高之、ベジェ曲線ドリル(Illustratorで学ぶ)、ラピュータ
・イラストレータ教室、エムディエヌコーポレーション
・Robin Williams、How to Boss Your Fonts Around、PeachPit Press
・ベン・ウィルモア、フォトショップ講座6.0上巻・下巻、エムディエヌコーポレーション
・木村菱治、Strata 3Dplus パワフルガイドブック、ローカス
・無一文クラブ、Strata3D一目瞭然Remix、BNN新社