ごまちゃん、ケニヤを行く!

さよなら、ケニヤ〜3


 モンバサ空港はケニヤッタ空港よりきれいで明るい空港だった。私は、搭乗予定便の2時間前に来てしまったようだ。カウンターでは予約したフライトの、一便前のチェックインをしていた。 アラブ系の衣装をまとった人が多くいた。さすがモンバサ、イスラムである。飛行機に乗るくらいだから、きっとこういう人達は社会的地位も高い人達なんだろうなと思いながらぼんやり眺めていた。

 空港税を払おうとブースに近づくと、変な表示がしてある。US$40、ケニヤシリング2000、と書いてあるのだ。成田空港だって2000円だというのに、なんて空港だ。そんなにケニヤシリングの残りは持ってないよと思い、しょうがない、USドルだ、と20ドル紙幣を2枚差し出した。すると、20ドル紙幣を一枚乱暴にこちらに投げてもどし、一枚をとって16ドルを返してきた。へ?それって4ドルって事ですか?有無を言わせぬ態度でその係員がドルを戻してくるので、別にまあいいか、損したわけじゃないしという極めて短絡的な考えで納得した。2000シリングでなく、200.0だったのだろうか。ならどうして40ドル?いずれにせよケニヤという国である。何があったって不思議ではない。いちいち疑問に思うほうが、間違いということである。

 空港は待合い室と言っても、部屋があるわけではない。屋根がついただけの外にさらされた場所である。そこから見えたのは、プロペラ機であった。ひえー、ケニヤ航空に乗るって言うだけでドキドキものなのに、しかもプロペラ便かあ。誰かがジャンボよりプロペラの方が安定してるんだよ、と言っていたが、それでも不安なものは不安だ。 飛行機が不安だからといって、また17時間の列車と言うわけにもいかない。それだけは避けたい。この飛行機なら1時間ちょっとでナイロビなのだ。しかもナイロビ空港に直行できるのだから。まだあと2時間近く待ち時間もあるし、一服するかというわけで、コーヒーを飲んでぼーっと空を眺めていた。空は快晴、掃除のおばちゃんが、ワックスらしい白い液体を床にぶちまいている。

 アナウンスが流れ、私の乗る便の一便前のボーディングが始まった。周りに居た人の殆どが、搭乗口に消えていった。ぽつんと取り残された私は、誰も理解できないであろう日本語で「ひまだー」とぶつぶつ口にしていた。こういうとき、言葉が通じないのは、大変御気楽である。 その時、ネクタイを締めた空港の職員とおぼしき髭のおじさんが私に声をかけてきた。この便に空き席があるから乗らないかというのだ。ちょっと迷った。というのは、落ちたときに「あの正規の便に乗っていれば....」なんていう運命の皮肉を歌われたりしたらどうしよう、と思ってしまったからだ。逆に「一便前に乗ったから助かった!」なんてのもあるかな、という思いもかすめた。ま、どっちでもいいや。早く日本に近づけるならその方がいい。50人のりのエアバスが待ってる、早く乗ってくれと促され、手書きでシートナンバーを入れられた薄っぺらいチケットを手に握らされた。こんなんで大丈夫なんだろうか??


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