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2009年08月19日

マルチインフォマティクス

マルチスケールメディアを実現するためには、情報システムと都市・建築など、複数の領域の知識が必要となる。

そうした複数の領域の知識を使った並行的な設計プロセスをモデル化しようとしているのだが、それをマルチインフォマティクスと呼んでみている。

マルチスケールメディアという言葉のヒントになったのは、マルチスケール・マルチフィジックスという研究分野である。
http://www.multi.jst.go.jp/

そもそも機械工学というのは、機構力学・材料力学・流体力学・熱力学の4つの力学を使って設計を行うマルチフィジックスである。これらはフィジックスのサブクラスだけれども、扱う対象と扱う方程式が異なっている。

このマルチフィジックスに制御工学という電気工学という異なるフィジックスと数学の知識が必要になるのがメカトロニクスである。

メカトロニクスやマルチスケールメディアを内包するスーパークラス的な概念としてマルチインフォマティクスと考えてみたのだが、そのサブクラスにはさまざまなものが考えられる。

その代表的なものとしては、
作詞と作曲   が綜合されたものとしての 音楽
ダンスと格闘技 が綜合されたものとしての カポエイラ
前者はまったく違うインフォマティクスかと思うが、後者はダンスを力強くすると格闘技となり格闘技に流麗さを求めるとダンスとなるというパラメトリックな関係にある。

こうした知識の横の関係だけでなく、自己相似的な知識の持ち様が求められるのがサッカーである(話が長くなりそう(笑))。

かつて丹下研で多用されたというノイラート的なダイアグラムは、さまざまな知識が求められる都市の設計のマルチインフォマティクスの結節点として機能していた。
オフィスは組織デザインと空間デザインと情報デザインのマルチインフォマティクスだと思っているが、UMLがその結節点として機能するかどうか、可能性を模索しているところ。

こうした事をもう少し追い求めつつ、大学院の授業の内容にしようと思っている(まだまだ準備中)。

2009年08月05日

重層し連係するメディア

先日、とあるオフィスに見学に伺った。そこでの興味深かった話が、リモートでデジタルを使って働くことと、集まってオフィスで働くことの使い分け方についての意識だった。

また一方で、今月の建築学会の全国大会向けに、
「重層し連係するメディアとしてオフィスを設計する方法に関する一考察 」
というタイトルの論文を書いた。

メディアリッチネスを引用しながら、リアルなメディアとICTによるメディアの使い分け、といった主旨である。その見学で伺った話にも呼応するのだけれど、何をやるかが決まっていない状態で、何をやるかを決めたい時はリッチなメディアで。何をやるかが決まった状態で実行に移す時は、リッチネスが下がっても大丈夫、という話。

もし何かアイデアを出して実行するのであれば、
1)実空間で集まってアナログなメディアで発想する
2)アイデアが決まったらそれを設計して実装する
 :これはデジタル・バーチャルなメディアで完結できるのが良い?
3)最後は実空間もしくは情報空間で実施・実行する
というフローが良いと言えるだろうか。

自分がやっていることに対応づけるとすれば、1)がアイデアキャンプ、2)がCityCompiler、となる。

インタラクションデザインやメディアアートもそうだが、オフィスづくりも何周目に入っているか、で問題意識が違うような気がした。