August 28, 2005
レイコさん
レイコさんのような人にあった。その人は、イギリスからノルウェー語を勉強しに大学へ通っている年配の人で、いくつもの語学に堪能で、たとえば隣で早口の息が抜ける英語で話す人の言葉をわかりやすくしてくれたり、ピザをくれたり、そんな人だった。
レイコさんは、音楽の才能があって、だけど精神病にかかってしまってその道をあきらめて、そしてその後主婦になって平穏に暮らしていたんだけど、ある事件がきっかけで、再びどこかおかしくなってしまい、もう長く山奥の療養所のような場所で生活をしている。自分がまともではないということをわかっているまともで、今では周りの人にピアノなんかを教えて、半ば職員のようにそこで暮らしている。
レイコさんは、「ノルウェーの森」の上巻の後半から登場してくる。ぼくは、ノルウェーに向かう飛行機の中で上巻を読んで、そして今続きを大学の図書館にあった村上春樹全集で読んでいる。
レイコさんと、この前会ったレイコさんみたいな人に、どうやら何の共通点もない。でも、なぜだろう。別れた後の、本を閉じた後の、空気が似ていた気がした。
投稿者 POE : August 28, 2005 12:25 FM
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