Ferris: Mai 2007 アーカイブ

Mai 29, 2007

偶然に出会うには
少しだけ広すぎる東京

駆け上がった日比谷線
見上げた空は眩しかった
見つめる先に君はいない

街は鼓動を続ける
人を優しく飲み込みながら
過ぎていった人びとを弔い続ける

悲しみをほどくように
新しいカーテンを破いた

すれ違った影風に
あどけない夢を見つけた人
見つめる先に君はいない

風が旅立ちを早める
嘘をつきあう僕たちの色
薄れながら闇たちを見送っていたね

街は鼓動を続ける
人は優しく彩られていく
忘れてきた景色が連れ去れていく

***

心すこしうごく
闇に刃向かうしずくたち

僕はまだ立ち向かえずに
空領域へ向かう道に一人
ただ風向きばかりを確かめている

途切れそうな景色は今
守りきれない明日につぶされていく

窓越しに消えていく夜は
少しだけ振り子の針をずらす

生き急ぐことはないさ
消えていくだけの僕たちに
残せるものを考えることもない

会いたくのない人には
会わなければいいだけのことだ

信じたくもない現実を
無理して抱えなければいいだけのことだ

君にはきっと無理なのだろう
それだけのことだ

疼くのはいくつ前の未来かな
先行きだけ気にしてたあの頃かな

もう二度とはすれ違わない道に
投げ捨てられていた写真

その梯子は空の片隅へ続いていた
微笑む

そして、描き出す
少しまた。

世界はまだ、十分に優しい。

＊

真昼のスコールが
彼方を抜ける

日々の風が
彼岸に集まる

残された明日が
知らされずに散る夢に似合っていた

キミマダ
その手を離せないままでいたの？
コンナニ
暗い街で二人迷い続けるつもりだったの？

夜明けのTSUTAYAで
雨音を聞く

今日の午後に
離れる思い出

抱きしめた平和を
なぞるようにあきらめた中元の虹

キミマダ
世界を信じ切ったつもりでいるの？
サイゴニ
残される誰かを守りきる勇気もないままで