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No Revolution, Only Evolution

シンガポール国立大学の教授といろいろ話ができた。彼自身は実はシンガポール国籍ではなかったので、いろいろ率直な意見が聞けておもしろかった。専門的技能を持っていればシンガポールで永住権を獲得するのは簡単らしく、彼も持っている。彼は生まれたところと、国籍を持っているところと、今住んでいるところがすべて異なる。

まず、個人情報保護の話。パスポートとは別のIDカードを持ち歩いているが、パスポートと番号は共通。これはあらゆるところで使われるが、パスワードが付いている。ウェブを含めていろいろなところでこの番号が使われるが、パスワードがないとさまざまなサービスは受けられない。基本的には納税者番号として使われている側面が強い。シンガポールでは所得のかなりの割合が強制的に積み立てにまわされるシステムになっているので、その際にもこの番号が使われる。

言論統制の話。確かにポルノなどは規制されているが、みんなCNNや海外のニュースには接しているし、日常生活においてはどうということはないらしい。この点について研究しているシンガポールの研究者がいないのも確か(理論的な研究者はいる)だが、それほど強い圧力があるわけではない。

エリート主義の話。確かに古い世代が新しい世代を選抜しており、似たような思想傾向を持つ人が指導的に地位についていることは否めない。しかし、シンガポールに革命はいらない。環境変化に応じた進歩さえあればいい。これが多くの人の考え方だそうだ。民主主義は革命の制度化だから、その民主主義に歯止めをかけておこうという考え方は、筋が通っているといえば通っている。

体制批判についてもっとも口が軽いのはタクシーの運転手だそうだ。さっそく試したのだが、日本で11年間働いたことのある運転手だったので、日本の話だけで終わってしまった。