経済理論を飛び越える中国
HotWired Japanに「経済理論を飛び越える中国——ソフトウェア開発、マンガ・アニメ振興へ」掲載。
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HotWired Japanに「経済理論を飛び越える中国——ソフトウェア開発、マンガ・アニメ振興へ」掲載。
ようやくアメリカから戻った。たった3泊5日なのだが、会議はまるでロー・スクールの講義のようでけっこう疲れた。ずっとハーバード大学に閉じこめられていたので、今回は他に何も見ていない。3食付きの会議だったのだが、正直あまりおいしくないものばかりで、最後のBBQはスキップして中華街に繰り出した。泣けるぐらいにうまかった。
今回の会議の前に同じハーバード・ロー・スクールでInternet Law Programというのが開かれていたのだが、そのプログラムからずっと滞在していたCCKRの連中は、毎日、韓国料理屋に逃げ込んでいたそうだ。
そうそう、アメリカ入国の際に、例のUS-VISITがあったが、右手人差し指の指紋が合致しなかったらしく、何度もやらされた。3月に渡米したときのデータと照合しているらしい。ちゃんとやっているんだなあと思った。
ボストンでクリエイティブ・コモンズのサミットに出ている。15カ国の担当者が参加している。各国から複数来ていたり、スタッフが加わっていたりするのでけっこうな人数だ。
ステッカーをもらったので、パワーブックは写真のようになった。レッシグ教授の影響か、パワーブッカーがやたらと多い。
組織変更や新しいプロジェクトが発表されたので、CCJPのサイトで報告していくつもり。サイエンス・コモンズの本格化もおもしろそうだ。
アジア各国との連携も進みそうだ。アジアから来ているのは、韓国、中国、台湾、マレーシア、フィリピン。
初日の最後は、チャールズ・ネッソン教授の家でホーム・パーティー。いやあ、いい家だなあ。ハーバード教授の稼ぎはいいのかなあと下世話なことを考える。
レッシグ教授は最初の本(たぶん『CODE』のこと)をネッソン教授に捧げたと言ったところ、ネッソン教授は「私がそうしろと言ったんだ」と冗談を飛ばしていた。その辺のかけあいがおもしろい。それにしてもネッソン教授の講演は、ロースクールのソクラテス方式の授業みたいで、一番前に座っていた私は当てられるのではないかとビクビクしてしまった。
今日はB食倶楽部(びしょくくらぶ)へ取材に行った。かなりおもしろい。ブログとSNSを組み合わせている。招待された人しかブログを書けない(閲覧は自由)。
いくつかのブレークスルーがあったということだが、それにもまして、おいしいものにしぼりこみ、毎日の話題を盛り込めるようにした点がすぐれている。ブログやSNSは、しばらくやると飽きてしまう。話題が枯れてしまうからだ。しかし、毎日食べるものやレシピを載っけていくと、友人たちと情報を共有し続けることができる。「お前、そんなうまそうなもの食っているのか」といってつながりが保てるから話題はつきない(その点、祖父江君のブログ「レシピ」は先見性があったのかもしれない。最近料理エントリーが少ないけど)。いろいろ他にもおもしろい点を教えてもらったが、それはレポートに書くことにしよう(出し惜しみ)。
ところで、編集長は旧知の古瀬さんだった! びっくり。会った瞬間、「この前の学会来なかったな」と怒られてしまった。日本公共政策学会の理事もされている。もうすぐB食倶楽部には新機能が加わるとのこと。
同僚のCyrusと立ち話をしたとき、英語の教材をくれた。そこには
"Reading is the basics for all learning."
- Annoucing his "Reading First" initiative in Reston, VA., March 28, 2000
と書いてある。「まあ、いいんじゃない」と言ったら、「英語ができる人はすぐに間違いに気づくよ。普通に教育を受けた人ならどうやったって間違えない」そうだ。「basics」ではなく「basis」が正しいらしい。なるほど言われてみればそうだ。ブッシュ大統領はどうしようもなく勉強ができなかったらしい。
ウェブを探してみると、「Funny George W. Bush Quotes」というサイトがしっかりある。
日本人ネタでは「engrish.com」が有名だ。恥ずかしながら何が笑えるのかわからないときがある。
『暗号の秘密とウソ』などで知られるBruce Schneierが、Real ID Actを強く批判している。データ保護法が整っていないアメリカでこんな法律を通してしまったら大変なプライバシー侵害につながるという。議会ではまったく審議されないまま、イラク関連法案と抱き合わせで可決されてしまった。巻き返せるのだろうか。
岩崎正洋、河井孝仁、田中幹也編『eデモクラシー・シリーズ第3巻 コミュニティ』日本経済評論社、2005年6月10日、本体2500円+税、ISBN4-8188-1741-4
東京大学大学院の野口さんとともに「第6章 アメリカ合衆国」を担当。 野口さんがメインで執筆。
庄司さんが書いている韓国の第8章もおもしろい。
元GATT事務局長のドンケル氏が亡くなったそうだ。彼がまだ現役か、引退直後の頃だったと思うが、日本にシンポジウムで来たことがあった。私は学部の3年生か4年生で、ゼミの悪友たちと会議誘導のアルバイトをした。その後、アルバイトもレセプションに呼んでもらったのだが、そうそうたる顔ぶれに気後れしてしまっていた。
しかし、勇気を出して、しどろもどろの英語でドンケルに話しかけた。その時、扉が開いて、シンガポールのリー・クアン・ユーがオーラを発しながら登場して、ドンケルとの話は中断してしまっった。ところが、一息ついたところでドンケルが手招きしてくれた。日米半導体摩擦の勉強をしていたので、多角的な貿易自由化の視点から見たら、日米の二国間の合意は的はずれじゃないかというようなことを聞いた気がする。
残念ながら私の英語力は今よりはるかに悪かったので、彼の(おそらく)ドイツ語なまりの英語はほとんど理解できなかった。しかし、最後に「お前はもっと勉強しなくちゃいけない」といわれたことだけは鮮明に覚えている。
ドンケルとのこの何気ない会話は、勉強している間に思い出すことがあった。実は最近もあった。ドンケルとの議論に負けないためにはどうロジックを組み立てたらいいかと考えるのだ。そういう意味では、彼は私の中で教師のひとりとして存在してきた。
彼にとってはどうでもいいパーティー・トークだったと思うが、私にとっては本気で勉強しなくてはと思わされた重大な出来事だったと今では思う。ご冥福をお祈りしたい。
最近、SFCのキャンパスにいるときの楽しみの一つが、iTunesを介した音楽共有だ。キャンパスでiTunesを起動すると、共有されている音楽のリストが出てくる。今はちょうど10人が自分の音楽を共有している。懐かしいなあと思う曲があったり、へえと思うような曲があったり。アメリカの大学では「プレイリスティズム」という差別も生まれているそうだ。確かに自分のプレイリストを公開するのはけっこう恥ずかしいかも知れない。fk先生は人のプレイリストを見たいとおっしゃっていたけど、公開しているのかなあ。
ようやくアップルは日本でもiTunesミュージック・ストアを8月から始めるという。楽しみだ。
アメリカ人はよく女性に対して「マ〜ム?」といって話しかける。妻と一緒に歩いているときもしばしばいわれた。「お前にマムとかいわれる年齢じゃねえぞ」と長年不思議に思っていた。
最近おっくうがって車通勤が多かったのだが、体重が増えるし、読書量が減るので、今日は頑張って電車で移動。三田→六本木→半蔵門→遠藤と巡る。途中で読んだのが、六本木で話題のThomas L. Friedman著『The World is Flat』だ。「世界は平らなのだよ、コロンブス君」てな感じでとてもおもしろい。
その中で、マ〜ムの謎が解けた。「ma'am」と綴って「【名】ご婦人、お嬢さん◆madam の縮約形」(英辞郎)という意味だったのだ。な〜〜〜〜んだ。「マダム」より確かに「マ〜ム」のほうが柔らかい。学校で教えてくれなかったよ。