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楽しみの経済学

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昨日は夕景がきれいだった。

戻ってきたiMacのiTunesにCDを次々つっこみながら、三田の古本屋・清水書店の軒先でホコリかぶっていた堺屋太一著『イベント・オリエンテッド・ポリシー—楽しみの経済学—』(NGS、1984年)を読む。20年前の大阪21世紀計画の協賛出版となっていて、町おこし盛り上げ本かと思ったが、かなりおもしろい。日本の都市にはなぜ城壁がなかったか、フランスにはなぜルイ王朝の頃までトイレがなかったか、窓の少ないビルがなぜ建築されるようになったか、という雑学ネタもさることながら、万博などのイベントの重要性も分かる。

マーシャル・マクルーハンの理論が信用されなくなったのは大阪万博のせいだったそうだ。マクルーハン理論ではテレビのような「送達型情報メディア」の台頭によってイベントには人が集まらなくなるはずだったが、モントリオール万博や大阪万博ではマクルーハン理論に乗っかったスタンフォード・インスティチュートの予測がまったくはずれた。イベントとは「集人型情報メディア」であり、この重要性はテレビ(やこの時代には普及していなかったインターネット)が登場しても変わらない。

この議論はリチャード・フロリダのクリエイティブ都市論と同じだ。イベントをやり、楽しみがあふれた街作りをすることで経済も潤う。あれだけ開催前に批判されていた愛知万博が大成功を収めた理由もよく分かる。

堺屋さんはイベント学会というところの会長もしているらしい。