またニュー・ヘブンへ

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朝7時に家を出てボストンのサウス・ステーションへ。7月にNYに行って以来のアムトラック乗車。私は鉄分はそれほど多くないが、アムトラックはなぜか好きだ。ちょうど良い時間に特急のアセラがなかったので普通列車でニュー・ヘブンへ向かう。2時間20分ほど。前回乗ったとき、ボストンから南へ向かって左側の景色のほうが良いことに気づいたのでそちらの席を確保したが、雪まじりの天気で景色はあまり良くない。時折見える川や湖(あるいは海の入り江?)が凍っている。

定刻にニュー・ヘブンに着き、時間に余裕があったのでイェール大学までブラブラ歩く。5月にCFPというカンファレンスで来て数日過ごしたのでだいたい土地勘がある。

12時にイェール・ロー・スクールに行き、友人に会う。彼女はコロンビア大学で博士号をとったばかりで、イェールの情報社会プロジェクトでフェローをしている。いずれ彼女もどこかでテニュアをとり、立派な先生になるのだろう。

イェールの建物は統一されていて古めかしさを漂わせているが、ハリー・ポッター的でもある。ロー・スクールの建物もまさにそんな感じで、中の食堂も良い雰囲気だ。そういえば、インディ・ジョーンズの最新作のロケでもイェールが使われていた。

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今、アメリカの大学はセミナーの季節に入っている。セミナーというと日本では講習会というイメージだが、アメリカでは講演会だ。MITでもハーバードでも毎日のようにセミナーが開かれている。イェールの情報社会プロジェクトでも今日から毎週セミナー・シリーズが始まり、私はトップ・バッターの栄誉をいただいた。

これまで英語が下手なのも気にせず、けっこうな数の英語の講演や学会発表をしてきて、たまに大成功と呼べるようなものもある(最近では昨年のトルコはうまくいった)が、今回は明らかに準備不足であまりうまくいかなかった。考えてみると昨年4月のジュネーブ以来、日本語でも英語でも人前で話していなかった。もうしどろもどろで、途中で胃が痛くなってきた。やはり準備は周到にやらないとダメだ。

聴衆には申し訳ないのだけど、今回は自分の研究の進捗を話してフィードバックをもらうことが目的だった。テーマはブッシュ政権の令状なし傍受だったのだが、聴衆の反応が複雑。ロースクールの学生やファカルティだから、法的な側面について彼らはいくらでも語れるはずだが、政治的な側面になるとみんな奥歯に物が挟まっているような感じだ。こういう話もある、こういう動きもあると教えてくれたのはありがたい。しかし、自分のポジションを明確にするような意見はほとんど出てこなかった。

これまでこの問題をいろいろな人に質問をしてきたけれど、アメリカ人にとってもこれは自慢できる事例ではないので、語りにくいのだと思う。さらに言えば、イェールはブッシュ親子の母校である。そんなところでブッシュ批判ともうけとれないことを話す私がちょっとずれているのかもしれない。外国人に言われたくはないわな。例えば、日本の腐敗政治について研究しに来ましたというアメリカ人が東京で講演して受けるはずはない。ま、いいや。

天候が悪くなるという予報だったので、セミナー終了後、タクシーに飛び乗る。本当はイェールの中を案内してもらいたかったなあ。とても残念。もう当面はここに来ることもないだろう。しかし、雪で帰れなくなると困るので仕方ない。

ボストンに帰るアムトラックの特急アセラは数分遅れでニュー・ヘブンを発車。今度も景色の良いはずの右側(ボストンに向かって)の席に座れたが、雪が激しくなり、外の景色はほとんど見えない。日本の電車だったらスピードを落としそうなものだが、さすがニュー・イングランドの特急はスピードを落とさずに突っ走っているので余計景色は見えない。

景色が悪いのでN君が送ってくれた卒論を読む。締切ギリギリに出したためだろうが、誤字脱字が多いのがちょっと残念。でも彼がずっと主張していたコンセプトがかなりおもしろくまとまっている。忘れていた論点もいくつか思い出させてくれた。先学期も卒論を送ってくれた学生がいたが、忘れずに送ってくれるのはけっこううれしい。一年とか二年つきあって話を聞いていると、こうした時間が経ってから読んでもぱっと昔の議論がよみがえってくる。勉強から一歩でも踏み出して研究した成果を形にして卒業できる学生はすばらしい。

飛行機の旅も良いけど、電車はシートベルトに縛られることもなく、電源も使えるからリラックスできる。一つ終わってすっきりしたので、帰国までもう少し頑張ろう。

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このページは、taiyoが2009年2月 3日 20:48に書いたブログ記事です。

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