インドネシアの食事

 インドネシアの食事といっても、日本人にとってはほとんどなじみがないと思います。私自身、行くまで全く食べたことも聞いたこともありませんでした。最近、タイ料理やベトナム料理がはやりなのとは対照的です。

 一頃にインドネシア料理と言っても、インドネシアには数多くの島があり、国土が非常に広いので、実に様々な民族料理があるそうです。しかし、総じて言えることは、比較的辛いものが多いこと、中華の影響を受けたものが結構あること、デザートは甘いこと、鳥と魚が中心となることでしょうか。インドネシアでは、イスラム教徒がその多くを占めるので、豚はほとんど食べられません。しかし、ヒンドゥー教徒も多いので、牛もあまり食べられていません。よって、鳥が最も無難となるわけです。もっとも、バリでは豚料理がありますし、牛肉の料理もあります。

 まずは、ナシチャンプル。ナシはご飯のことで、チャンプルは、混ぜるという意味です。このナシチャンプルは、インドネシアのどこでもあります。と言うのも、特別な料理というわけではなくて、ご飯の周りにお好みのものをのせて食べます。通常はのせたものの数で、値段が変わります。これは、バリ島のウブドの食堂で食べたものです。4種類ものっているのでかなり豪勢です。野菜炒めのようなものもあれば、鶏の唐揚げ、カレーやゆで卵などがのります。ご飯の上に乗っているのは、紫色の小さいタマネギを揚げたものです。

 その下は、バリ島中部の農村の食堂で、いつも用意して頂いている食事の一例ですが、このようにいろいろな種類のおかずがあって、それを選んで乗せます。普通お店では、ガラスケースの中に、おかずが作りおいてあって、その中から選びます。私たちは人数が多いので、いつも別に用意してもらっています。普通はそんなに何種類も乗せません。

 これは、ナシゴレンです。ゴレンは炒めるという意味です。要はチャーハンです。味はお店によって様々。日本で私たちが食べるチャーハンにそっくりのものもあれば、もっと辛いもの、ケチャップをたくさん使っているものなどがあります。これは、ホテルの中にあるレストランで食べたのですが、値段は普通の庶民的な食堂の3倍ぐらいです。しかし、特に味が変わるわけではありません。
 上記の2つの並ぶ定番が、このミーアヤムです。これは食堂ではもちろん、屋台がどの村にも必ずあります。アヤムは鳥のことですが、鶏肉の入ったラーメンです。ラーメンの麺はたいていインスタントラーメンを使っていて日本と変わりありません。味は塩味で、サンバルトいわれる辛みそを入れて食べます。この麺を炒めたのがミーゴレンで、焼きそばです。これは日本の焼きそばとよく似ています。
 これはインドネシア版焼き鳥、サテーです。サテーは地域によって味が違うそうです。ここにあるいは、ジャワ地方のサテーで、少し甘いピーナッツソースがかけてあります。これはバリで食べたので、それほど甘くありませんが、ジャワでは本当に甘いものが普通です。バリのサテーは、ピーナッツソースはかからず、辛みがあります。ビールのおつまみにはバリの方がよく合います。
 次は、これも定番に入りますが、ガドガドです。茹でた野菜に、ピーナッツソースをかけたものです。野菜は何でもよいそうで、キャベツやにんじん、ブロッコリー、もやしなどが入っています。他には、ゆで卵や厚揚げ、テンペ(大豆を発酵させて板状にしたもの)などが入ります。この写真にはご飯が付いていますが、普通は付きません。私のかなりのお気に入りです。
 インドネシアでは、魚料理もおいしいです。日本と同じように島国ですから、よく魚は食べるようです。海水魚だけではなく、淡水魚もよく食べています。この写真は、焼き魚ですが、インドネシア語では、イカンバカールと言います。イカンは魚で、バカールは焼くという意味です。レストランでは、たいてい決まった値段がわかっているわけではなく、魚の大きさによって値段が変わりますが、日本に比べればずっと安く炭で焼いた魚が食べられます。

 さらにその下は、イカンバカールに辛みそであるサンバルがかかっているものです。これはかなりいけます。サンバルの辛さは、店によるようです。これはそれほど辛くありませんでしたが、以前連れて行って頂いたレストランは死ぬほど辛かった覚えがあります。魚がよく見えませんが、確かカレイでした。

 左側の写真は、同じようにサンバルがのっていますが、カンクン(空芯菜)を茹でたものです。これは、ロンボクふうだそうですが、空芯菜は、インドネシアのあちこちで食べられ、大変おいしいです。右は、エビの炒め物ですが、エビもどこでもおいしく食べられます。他のものに比べれば高いのですが、日本で食べることを考えれば・・・。
 これは、アヤムゴレンにサンバルがのったものです。ロンボクでは、鳥一匹を焼いて、それにサンバルを敷き詰めたものが有名です。それは相当辛いです。以前ロンボクに行ったときに、マタラムの有名な食堂で食べました。左は、デンパサールのフードコートで学生さんが注文したものです。そんなには辛くなかったようです。白いのはキャベツですが、キャベツと一緒に食べます。
 こちらは、ソトイカンです。スープのことをソトと言います。普通のスープは、鳥であることが多いので、ソトアヤムと言います。これは魚料理屋で出た魚スープです。スープの味は基本的には同じで、結構辛いのですが、かなりおいしくて気に入っています。しかし、気をつけないとむせてしまいます。地元の人はこのスープをご飯にかけてよく食べています。
 魚も揚げて食べるのですが、それがイカンゴレンです。これは、ナマズです。調査地でお世話になっていた家で、お父さんが釣ってきたものです。釣ってきたと行っても釣り堀で、田んぼの一角が池になっていて、ナマズがたくさん飼われていました。骨が多いので食べるのがやっかいですが、淡泊でなかなかおいしい味でした。お店でもナマズは普通に食べられます。
 まだまだあげればきりがないのですが、とりあえずこの辺で食事は終わりにしますが、インドネシアでは、本当に安くておいしいものが食べられます。私たちが調査の際にお世話になる食堂では、飲み物を入れて、ご飯お代わり自由で一人百円ぐらいです。普通の人が食べている食事は、50円ぐらいです。もちろん、観光地の外国人用のレストランでは、それが500円ぐらいに跳ね上がります。観光地にも地元の食堂や屋台はありますので、200円もあれば、食事ができます。イギリスのまずくて高い食事を思い出すと、インドネシアは感動的で涙が出そうです。