バレン高原とモハーの断崖

 バレン高原とモハーの断崖は、アイルランド西部のゴールウェイの近くに位置します。バレン高原は、アイルランドで最も不毛な土地だと言われるそうです。岩が露出し、木が一本もない光景を目にしたかつてのクロムウェルは、拷問にかけるために吊す木もなければ、溺れさせる水もなく、埋める土もないと言ったそうです。(正確には忘れましたが。)もともと土地が痩せているこの地域に飢饉が襲ったときには、多くの農民が土地を捨てアメリカ大陸へ渡ったそうです。その一方で、今となっては、粗放的な放牧と貧栄養の環境に成り立つ草地は、多くの絶滅危惧種を維持し、大変貴重な生息地ともなっているそうです。以下では、モハーの断崖とあわせて紹介します。バレン高原の歴史と環境については、以下の論文に良くまとめられています。

O'Rourke, E. (2005) Socio-natural interaction and landscape dynamics in the Burren, Ireland. Landscape and Urban Planning 70, 69-83.

 これが、木も水も土もないというバレン高原の上です。石灰岩の母岩が露出し、石の裂け目に少し土壌が発達していて、草本植物が生育しています。確かに見渡す限り全く木が見えませんでした。ここでは、現在でも粗放的な放牧がなされています。以前は、冬の間ここに家畜を放ち、春が来るまで放っておいたそうです。現在では、そういった伝統的な方法はなされなくなっているそうです。
 岩の間に小さなホタルブクロのような花が咲いていました。でも、種は調べていません。草本はさっぱりなので(木本も?)。どなたかわかれば教えてください。ここでは、数多くの絶滅危惧種が生育しているそうで、アルプスに見られる種なども出現するそうです。
 岩の間の裂け目は、溜まった水が凍ったりして長い間の浸食作用でできたものだと思います。裂け目は深いので、うっかりすると足を取られてねんざしそうです。露出した岩の上を飛び石を歩くように歩かなければなりません。デジカメの画像はありませんが、この周辺にも土壌改良をした農地がありました。近代になって、土壌は持ち込み化学肥料を投入して、生産性を高める努力も一部でなされてきたようです。しかし、現在では、元の景観を保全する努力がなされています。特に、この景観は、全くの自然景観ではなく、粗放的な放牧という人間活動によって維持されてきた文化景観だそうです。
 巨人のテーブルと呼ばれる古代の遺跡だそうです。先史時代の人々の住居だったのではないかと言われているそうですが、よくもまあこんな岩を持ち上げたものですが・・・。もっとも、よいしょと持ち上げたわけではないでしょう。一部崩れてしまっているところもあります。基本的に観光客はこのテーブルを見に来るようでした。
 次はモハーの断崖です。モハーの断崖は、大西洋に面した海岸線にあります。上のバレン高原に比べれば、ずっとメジャーな観光地のようで、かなりたくさんの観光客が訪れていました。またフットパスも整備されているようで、ハイキングを楽しむ人も多く見られました。

 崖の高さがどのくらいあるのはよくわかりませんが、たぶん200mはあるでしょうか。左の写真の真ん中の上に見える点のようなものは、大きな塔です。しかし、小さな点にしか見えません。

 左の写真の水平線に線のようにしか見えないのは、アラン諸島です。アラン諸島自体は、たぶん日本では全くなじみがありませんが、有名なアランセーターの生まれた地と言えば知る人も多いかもしれません。元は、アラン島の漁師のセーターだったそうです。このアラン島までクロムウェルは占領したそうです。アラン島もすばらしいそうですが、さすがに訪れる時間がありませんでした。
 なんだかこう見ると採石場のようですが、壁のように見えるのが、観光客に危険のないように造られている塀です。その下はもうがけの縁まで続く岩盤なのですが、その上で遊んでいる強者もいました。私が写真を撮っている反対側も、危険なので自己の責任で立ち入るようにと看板がありました。たまに落ちる人がいるのでしょうか。でも、冬は風が強いでしょうし。
 訪れたときは幸いにも大変天気が良く、海も空もきれいでした。風もほとんどありませんでした。崖には、非常にきれいな地層が見られました。こんな天気だったら、のんびりと崖沿いに散歩してみたいものです。

 また、いずれスライドをスキャンして画像を加えようと思います。