イギリスの食事

 イギリス料理と言って何を思い浮かべるでしょうか。そもそも、イギリス料理なんて聞いたことがあるでしょうか。そうです。イギリスの料理は本当に評判が悪いのです。イギリスと言えば、ローストビーフとフィッシュアンドチップスぐらいしか知られていません。またイギリス人が、食に対して非常に保守的なことも有名です。世界中どこでもイングリッシュブレックファーストを食べているともいわれています。イギリスでは、「イギリスでおいしいものを食べるためには、毎食イングリッシュブレックファーストを食べることだ。」だなんて言われるそうですが、そんなことあるのでしょうか。でも、本当なのです。イギリスの料理は本当に本当にトホホなのです。最近は、モダンイングリッシュなどと言われるおしゃれな料理があるそうです。るるぶなどのガイドブックには、それはもうおいしそうな料理が載っていますが、やっぱりイギリスの料理は・・・、ともかくご紹介します。

これがフィッシュアンドチップスだ〜!!

 とやけに気合いが入ってしまいました。画像も大きいし。フィッシュアンドチップスなどと言うとちょっとおしゃれな感じがするのですが、要は鱈の天ぷらにフライドポテトです。鱈は、英語でCodといいます。上記の写真は、プティングで有名なピークディストリクトのベイクウェルのテイクアウェイで買ったものです。テイクアウェイというのは、持ち帰りのことで、店で食べない分安いのが普通です。この店はテイクアウェイだけです。ここのフィッシュアンドチップスは、友人であるシェフィールド大学の井上氏によると、今まで食べた中で最もうまいとのことなのですが、私には違いはわかりませんでした。他の店より揚げたてで熱々というぐらいの感じでした。それにしても、このフィッシュですが、ゆうに長さ30cmあります。衣の厚い天ぷらという感じです。駅の立ち食いそばのエビ天のようなものです。これに塩とワインビネガーをかけて食べます。最初の一口、二口は、ヘエー、結構おいしいじゃないかという感じですが、それは三口目ぐらいまで、半分まで食べると地獄が待っています。さらに、下のフライドポテトは、魚から落ちてきた油でべとべと。心して食べないとごめんなさいをしなければならなくなります。肝心なのは勢いです。おいしいような気がするうちに一気に食べてください。冷めたらさらに悪夢が待っていますし。フィッシュアンドチップスには、いくつか魚の種類があります。Codが一番一般的で安いのですが(さらに大きい)、もし他の種類があったら迷わず他のものにすることをお勧めします。Codは身自体が油を吸うのか、脂っこいことこの上ないのです。ぼろくそに言ってしまいましたが、たまに食べたくなるから不思議です。でも、せめて半分にしてほしい・・・。

 フィッシュアンドチップスは、テイクアウェイの店が多いのですが、たまにレストランでもあります。でも結局は同じものです。味もたいして変わりません。右は、フィッシュアンドチップスで一財産をなしたというイギリスで最大のチェーン店のものですが、なにも特別ではありません。テイクアウェイですと3〜4ポンドぐらい、レストランなら6〜8ポンドぐらいします。
 次は、ローストビーフです。と言っても、まともなところでローストビーフを食べたことがありません。イギリスのレストランは本当に高いんです。左の画像は、ローストビーフ用の肉を買ってきて、家のオーブンで家内が作ったものです。私が切ったので、あまりきれいに切れていないのですが、なかなかおいしかったです。しかし、一塊の肉が1キロもあるので、食べるのが大変でした。
 さて次は、イングリッシュブレックファーストです。と言っても左のものは、実はアイルランドで食べたもので、正確にはアイリッシュブレックファーストですが、あまり違いはありません。基本は目玉焼きとベーコン、焼きトマト、ソーセージ、マッシュルーム、左にはありませんが、大豆のトマトソース煮がつきます。さらに、イングランドでは、左にもある黒いブラックプティング(豚の血が入ったソーセージのようなもの)がつくこともありますし、スコットランドではハギスが付きます。目玉焼きは、Fried eggと言いますが、その名の通り、かなり多い油で揚げるように作るのが本式です。日本のようにふたをしたり、水を入れたりしません。黄身の表面に膜をつけるために、フライパンに溜まっている油を途中からすくって黄身にかけます。ちょっと脂っこくなるのが本物です。ちなみに、スコットランドではスコティッシュブレックファーストと言います。イングリッシュというと怒られるそうです。どちらでも使えるのは、ブリティッシュブレックファーストという呼び方です。
 さてその他の料理ですが、まずスープです。イギリスにはいろいろなスープがあります。左は、カボチャのスープです。日本人の味覚からすると、塩味が足らないものが多いと思います。たいていは野菜がたくさん入っているので、どろっとしたものが多いようです。イギリスの料理の中では、おいしいものかもしれません。しかし、右のようなセットで3ポンド(6百円)ぐらいするので、つらいものがあります。ちなみに、左は、マンチェスター近郊のナショナルトラス、ライムパークで食べたものです。
 左は、スコットランドで食べたスープです。名前を忘れましたが、麦を始めいろいろな野菜が入っているスープで、これは客観的にも(イギリス料理の中の比較ではなく)おいしいものでした。これもグレンコーのナショナルトラストで食べたもので、値段は確か3ポンドぐらいだったと思います。大きなコップに入ってきたときは驚きましたが、味の方はなかなかグーでした。
 左は、見ればわかりますが、ハンバーガーです。サラダとコールスロー、フライドポテトが付いています。このセットで、確か4.5ポンドぐらいだったと思います。しかし、これは大手スーパーの軽食コーナーなので、かなり安い方です。ここはサラダが多い方でした。普通は、もっと少なくて、レタス数枚です。この日はこれが夕食でした。こちらでは普通ですが、何とも寂しい・・・。
 おっ、なんだこれはという感じですが、これはかなり大きいのです。One pod pieというそうです。比べるものがありませんが、下のトレーの3分の1ぐらいあります。下の写真が、上のパイ生地を切ったものですが、中を開けるとシチューのようなものが入っています。これは、シチューの上に、パイをのせた焼いたようなものです。似ていると言えば、ハンガリーのグラーシュが似ていますが、味は似て非なるものです。下のシチューはかなりこってりしていてなおかつ塩味が強く、上のパイを崩して落として混ぜると両方のこってりさが消し合うような気がして食べられます。つまり、がんばって食べるような代物でした。二人で一つでやっとです。イギリスではそういうことが結構ありました。
 次は、ジャケットポテトです。これは大きなジャガイモをオーブンで焼いたものを半分にして、その間にいろいろなものをのせます。左は、カレーのようなものをのせてもらっていますが、たいていはマヨネーズであえたサラダのようなものです。これもイギリスでは、かなり定番のテイクアウェイ料理で、皆さんよく食べます。まあ、ジャガイモ自体は、日本よりおいしいので、食べられます。左のセットで、確か5ポンドぐらいでした。
 これは、家内がインバネスのファミレスのようなところで食べたラムステーキです。横のがんものようなものは、パイです。味が少し濃かったようですが、こちらにしてはおいしいものだったようです。画像が残っていませんが、このとき私が食べたガモンステーキというものは、最悪でした。要はただの厚く切ったベーコン(厚さ2cmぐらい)を焼いただけなのですが、こちらのベーコンはかなり塩辛いので、食べるのがかなり苦痛でした。安かったのですが(それでも確か7ポンドぐらい)、もう絶対食べません。
 このページを作り始めて、驚いたのは、いつも食事を写真に撮る私なのですが、イギリスのものは本当に少ないことに気が付きました。やっぱりその気にならないのですね。ヨークシャープティングやコーニッシュパイも食べたのですが・・・。イギリスには、古くからインド人が住んでいるので、インド料理が普通に食べられます。左はカレーです。安いところでもそこそこおいしく助かります。
 イギリスに来て、食についての発見と言えば、なんと言ってもイギリスのインド料理がおいしいと言うことでしょうか。イギリスの料理に比べれば安くてなおかつかなり本格的なものが食べられます。左は、テイクアウェイのものを家で食べたときですが、一人あたり1200円ぐらいで、カレーが3種類以外に、前菜やサラダ、タンドリーチキン(小さいですが)など、かなり食べられます。もちろん、ナンもライスも付いて食べ切れません。味は、日本で食べるインド料理とは少し違い、インドからパキスタンの方の地域のようで、コリアンダーが結構効いているのが特徴です。たいてい日本人は、このインド料理のおいしさにはまるようです。
 そして、世界中どこでも、日本人にとって食の駆け込み寺となっているのが、中華料理です。イギリスには、中国人も古くから多く住んでいるので、中華料理店は大変たくさんあります。左は、カンタベリーで食べた海鮮焼きそばとアヒル、鳥、豚肉の盛り合わせです。もうイギリスのものはダメだ〜と言うときに助かります。ここには載せていませんが、外食するときは結局マクドナルドかバーガーキングになってしまうのです。イギリスの食事はそれらとあまり変わらないし、こういったファーストフードが結局一番安いからです。しかし、ハンバーガーとフライドポテトだけではつらいものがあります。もう一生分ぐらい食べたかも。私たちは、イギリス滞在中にあまり中華料理は食べませんでしたが、やはり世界のどこでも日本人の味方です。世界中でがんばっている中国人の皆さんに感謝せずにはいられません。
 エジンバラのケンタッキーフライドチキンで、こんなものを見つけました。鶏肉丼です。どうも中華風のキャンペーンだったようですが、何ともうれしい限りです。飲茶セットがイギリスにあるわけもないし。味の方は、諸手を挙げてほめられるようなものではありませんが、ご飯が食べられるだけ感謝、感謝です。
 最後には、中東系の食べ物です。ドイツと同じように、最近ではどこにでもトルコのケバブがあります。同じようなものですが、これはファラッフェルです。イスラエルなど中東のものだそうです。中身はケバブと同じで、ラムをローストしたものを薄切りにした肉とタマネギやレタス、トマトなどを加えます。たいてい、ヨーグルトソースとトウガラシを入れます。こういったテイクアウェイはたいてい安くて(2〜3ポンド)、日本人の口に合います。そういえば、ドイツでもかなりケバブにお世話になったことを思い出します。今では日本でも食べられるそうですが、ヨーロッパでいろいろなケバブを試すのもおもしろいかもしれません。ラムが苦手な方には、牛肉や鶏肉のものもあるようです。
 追加です。イギリスの料理は散々に書いてしまいましたが、素材は実はおいしいのです。特に、魚。左は鯖です。焼いただけで塩味はほとんどありませんが、塩をかければおいしく食べられます。これは、リバプールのアルバートドックで食べましたが、5ポンド弱と安かったです。さらに、サーモンもおいしいものが日本に比べるとずっと安く食べられます。特に、スコットランドのものは有名です。でも、安いとはいっても、日本に比べればの話なので、極端に安く食べられるわけではありません。
 もう一つ追加です。ヨークシャープティングの写真がなかったので、帰国直前に撮ってきました。上に乗っているパイのようなものがそれです。要はパイ生地の生地だけのようなもので、特別な味がするわけではありません。左のように、料理の付け合わせにします。左の料理は、ちなみに、ラムのミントソース添えです。ソースのミントはかなり香りがきついのですが、意外に悪くありません。でも、ミントでなくてもいいのでは・・・という気はしますが。