ソリブジン事件では、添付文書は厚生省の承認を得たものであった。しかしな
がら、医師や薬剤師の目につく「使用上の注意」の冒頭では副作用について、
一切触れられておらず、「併用を避けること」という記載が使用する側の目の
届きにくい8番目の項目に記載されていたにすぎなかったのである。
こうして曖昧な記載は結果として医師の不注意をうみだすことになったといえ
る。これに対し、日本商事は「「併用を避けること」とは併用禁忌ということ
である」とし、また厚生省も「「併用投与を避けること」という表現は相互作
用の注意を促す最もきつい言葉であり、むやみに警告を乱用をしたくない」と
している。
両者とも副作用の重大さを十二分に理解しているといえるが、この場合問題な
のは、その意図を添付文書上にしっかりと示すことができていたかどうかであ
る。利益優先、安全性軽視であると疑いたくなるところである。
やはり、<警告><禁忌>として添付文書に大きく書き添えるべきであったの
ではないだろうか。事実、副作用による死亡者がでたあと、遅ればせながらと
もいえる配布文書には、初めの添付文書よりもずっときつい表現によって、併
用についての注意点が載せられてある。このことは、その情報がいかに重要で
あったか示していると言えよう。
添付文書の記載要項では評価が確立していなくても、重い副作用の場合は記載
することが求められている。