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供給構造

   電気事業は、大きく発電分野と配電分野に分けることができる。
10地域に1つの電力会社が存在し、この10電力会社が発電と配電とを垂直統合してい る。さらに発電分野に私企業22、地方公営34の事業者が存在し、電気を10電力会社に 卸売りしている。またこれとは別に紙・パルプ産業や化学産業を中心に自家発電を行 う企業が存在している。 電気事業の特性は、第1に発電・送電・配電のそれぞれの分野で膨大な設備投資が必 要であり、規模の経済が働く自然独占の性質を有しているところにある。第2に、生 産された電気は貯蔵不可能であって、即消費される必要があり、第3に、熱需要以外 は他のエネルギーによって代替することは不可能であり、しかも産業及び国民生活に とって必要不可欠なエネルギーであるという特性を持っている。
 電気事業は規模の経済性が働くために、複数の企業が生産するよりも1企業で生産 する方が社会的にはより低い費用で済ませることができる。競争状態に委ねられれば 、生産量を拡大することで設備投資負担が逓減し、かつ設備投資は埋没費用となって いるので、企業はマーケットシェア拡大のための価格競争に走り、料金を平均費用以 下に設定するような破滅的競争に陥る可能性がある。したがって、社会的に必需品で ある電力を安定的に供給していくためには、参入規制が必要とされている。
 また、独占的な供給が行われていれば、不当に高い料金を設定することによって不 当な利潤を獲得する可能性があるので、価格規制が必要とされています。ほかにも兼 業規制や安定供給義務などがあり、これらの代わりとして電気事業者には地域独占が 認められている。  また全国10地域に分かれているのは、それぞれ地域独占的供給を行ってそれぞれの 地域の電気事業者が各々の業績を比較することで内部効率を高めようとしているため だ。ただし、地域間競争は企業間の直接的競争ではないので、競争機能としての効果 がどれほどであるかは疑問視もされています。(なお、この競争機能を高める目的で 、通産省はこれまでの総括原価方式を改め標準原価方式(ヤードスティック方式)を 1996年を目標に導入する方針を固めている。) 卸電気事業(電力会社に電気を卸売りする事業)に参入するには通産省の(通産大 臣の?)許可が必要である。(この許可制度は今度の法改正で大規模の場合を除き 撤廃される。)



Atsushi Kusano
Thu May 8 15:35:48 JST 1997