酒類ディスカウントストアによる酒類の値下げ競争が近年激しくなっている。
これについても、国税庁と公正取引委員会の見解を聴取したのでそれを参考に提言し
たい。
まず、国税局であるが「値下げ競争に関しては企業の競争に過ぎず、特にコメント
はない」としており、静観の構えである。公正取引委員会は、「自由で公正な競争を
擁護しており、問題視しておらず、むしろ歓迎している。ただし、不公正な取引方法を
用いない限りであるが」と不当廉売を警戒しつつも好意的に見ている。
競争が加熱する酒類DSについて、このような記事が掲載されていた。
「現在、全国の酒類販売総額に占める酒類DSのシェアは15%程度である。
しかしある地域では、酒類DS13店で52%のシェアを握り、残りの48%を25
0店の一般酒販店で分け合っている。…こうした価格競争は全国に拡がり、一般の
酒販店は採算を度外視してでもDSに対抗せざるをえなかった。…ビールは利益を稼
げる商品ではなくなったため、『小売価格が安くても粗利率が高い』海老やカニなどの
商品の品揃えを充実させるようになった」
(日本経済新聞1995年1月20日付より・一部改正抜粋)
「近年、酒類DSへ異業種からの参入が相次いでいる。酒税法に基づく営業免許の
規制緩和に加えて、売れ行き不振の一般酒販店から営業権を譲り受けるケースも増え
ている。その例としてカメラDSのビックカメラ、紳士服店サムを展開するサム商事
などがある」(日本経済新聞1995年3月17日付より・一部改正抜粋)
上記のように、酒類DSも様々な形態を持って展開されるようになった。私たちは、
このような企業努力をニュービジネスを開拓するものとして、大いに歓迎したい。
このような可能性を追求したものは、従来の酒類小売機構では必ずしも満たされな
かった消費者の酒類購入ニーズに応えることで、多くの消費者の選択と支持を受けて
成長したものであるということは、充分確認しておきたい。