法制化において最も重要な検討事項は、何を非公開とし得るかという線引きの問題である。情報公開制度の理念からすれば、すべての行政情報の公開が一応の原則となることは言うまでもない。しかしながら、行政が保有する情報の中には、国家秘密、第三者情報など公開になじまない情報も数多く含まれているため、非開示事項とすべき情報の範囲を明確にしなければならない。さらに、情報公開問題研究会報告は、非開示とすべき範囲について「国民の間で意見の相違が大きい」ことを指摘している 。この問題を考えるには、現状の情報公開規準がいかなるものであり、その妥当性はいかなるところに求められるのか、ということを追及する必要がある。無論そこには何らかの問題が存在する可能性もあるだろう。
その判断の足掛かりとなるのが、地方公共団体における情報公開制度、行政機関の指針、過去1980年から93年にかけて野党が提出した情報公開法案(すべて後に廃案)、民間の草案、そして各国の情報公開法である。以下、これらについて詳しく述べ、あるべき非開示事項の姿を模索する。
なお、本文中、意見にわたる部分で特に注釈がないものは、筆者の私見である。