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情報公開条例

そもそも、日本における情報公開の先鞭となったのが、1982年4月に施行された山形県金山町の「公文書公開条例」であった。以後、95年4月現在に至るまで、条例を制定したのは41都道府県・224市区町村、要綱を保持したのは4県15市町村にのぼるgif 現在、情報公開条例を制定している36都道府県について、非開示事項を分類・整理してみると、 

 このように日本における現行の情報公開制度を列挙すると、地方自治体においては制度発足後10年を経て、ほぼ同様の非開示基準が定着しつつあることが伺われる。しかし、情報公開法制化への活発な議論の中でも、その細目に関しては未だ十分なコンセンサスが得られていないのが現状である。ここでは特に問題となる要点について述べる。

まず、他法令、条例等との整合性の問題が挙げられる。これらは,ほぼ全ての情報公開制度にみられる規定であるが、特に考慮されるべきなのが個人情報保護制度との関連性である。別の項目として扱われる「個人に関する情報」にも密接に関連する事柄であるが、「プライバシー権」が情報公開の問題としてとらえられる時、それは「自己情報のコントロール権」へと転化するのだ。情報公開条例では一部団体で規定が為されているgifが、法制化に当たってこの権利を情報公開法に包含することを疑問視する向きもある。むしろ個人情報保護法等の制定を待たなければ、こういった問題の抜本的解決が不可能であるのもまた事実ではあるのだ。

次に法人等の事業活動に関する情報gifであるが、言うまでもなく、行政が第三者の利益もしくは不利益に影響を与える情報を公開することは望ましいことではない。しかし、高度経済成長期にみられた公害の問題をはじめとして、現代の肥大化した企業は社会的に多大な責任を負っている。先頃PL法(製造物責任法)の制定があったことから考えてもこれを無条件に非開示とすることは適当ではなかろう。

最後は事業執行に支障をきたす情報に関してである。極言すれば、非開示の正当性の根拠とされるものは、その半数以上がここに該当するであろう。例えば、外交、国防、公共の安全、意思形成過程の情報に関しても然りである。しかし、これらにもまた何らかの制約を課すことが求められるであろう。意思形成過程情報については特に検討の余地がある。近代民主性の体制から考えて、意思形成過程もしくは執行過程における情報でなければ、国民の権力に対するチェックは有効性を失う。代議制による国民主権は有名無実化すると言っても過言ではないのだ。

国等の他の機関に関係する情報、国等より非開示の指示のある情報云々については、情報公開法には該当しないため説明を省略する。



Atsushi Kusano
Thu May 8 15:35:48 JST 1997