まず我々は現在公開されている情報だけで原子力発電の安全性を判断できるの かを調べるために科学技術庁へ行ってみた。しかし前述したように資料は膨大 で、安全性を判断する上で必要だと思われる情報、例えば耐震設計が明記され ている資料などを捜し出すことは不可能だった。情報公開制度の発達している 欧米では、キーワードを提示するだけで関連する資料を捜し出してくれるが、 日本ではそのような情報公開システムがまだあまり発達していない。また実際 の内容だが、数字データや図が多く高度に専門的であったため、我々には理解 しえなかった。原子力発電は特殊なジャンルであり、専門的知識を有していな いと必要と思われる情報を選択することさえ困難であり、ましてやそれを用い て原子力発電は安全であるか否かを判断するのは、ほとんど不可能だ。そこで 原子力に精通している専門家ならどうであろうかと考えた。もし専門家が現在 公開されている情報によって原子力発電が安全だとの判断を下すことができれ ば、現状の情報公開はその点に関して十分だと言える。ところが、今回我々が 訪れた原子力資料情報室でもやはり政府が公開する情報だけでは原子力発電の 安全性について判断することは全く不可能だとおっしゃっていた。
以上、今回の我々の調査から、(我々の調査が非常に限定されたものであるこ とを差し引いてもやはり、)残念ながら原発に関しては情報公開が十分になさ れていないと結論するしかない。