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日本のガソリンスタンドの特徴

日本のガソリンスタンドの最も大きな特徴として挙げられるのは、「運営経費 の半分を人件費が占めているということである。 特に1980年代半ば以降 の従業員数の増大に伴って増加してきている。従って、ガソリンスタンドにお ける過剰サービス批判に応えた省サービス化、人時生産性(従業員一人当たり の生産性)の向上による人件費の節減がコスト削減のための重要な課題となっ ている。支出を考えた場合、ガソリンスタンドの販売管理費を100とすると なんと人件費が約半分をしめているのだ。このような人件費の問題を解消する ために業者側は従業員にアルバイトを多く採用し、すこしでも人件費を少なく すむようにしようとしている。

また、ガソリンスタンド(販売店)の経営実態はメイン商品であるガソリンが 低収益であり、それをカバーする形で油外商品に収益性向上の活路を求めてい るというのも現状である。ここで言う「油外商品」とは洗車・オイル交換など のガソリン給油とは全く関係ない部分の商売をさしている。ちなみにガソリン スタンドの全売上総利益を100とした構成で考えてみると、ガソリンは4割 強のウェイトに過ぎないのである。これは精製・元売り会社にとってはガソリ ンが高収益の源泉であるのにもかかわらず、販売店にとってはガソリンが低収 益であるという相反する収益構造を示している。その低収益を補うがごとく油 外商品の占める収益は全体の14となっているのだ。

さらに日本のガソリンスタンドは従来より消費者のためのサービス・ステーショ ンを目指して様々なサービスを供給してきたところである。いくつか例を挙げ てみたいと思う。入店時の誘導・窓ふき・灰皿清掃・ゴミ捨て・エンジンルー ム点検・タイヤ点検・ワイパーブレード点検・ランプ類点検・出店時の誘導な どがあてはまる。ガソリンスタンドで日常行なわれているなにげないこうした 従業員の行動はすべてサービスであったわけである。しかし、これまではガソ リンのマージン に依存する結果、多様なサービスにより消費者ニーズを充足 するという面における創意工夫が必ずしも十分でなかったことも否定できない。 逆に、過剰サービスがわずらわしかったり、そのためガソリンの価格が高いの では、と感じている人がいるのも事実である。このような点を考えると、セル フガソリンスタンドの利点というものもある程度見えてくるのだ。



Atsushi Kusano
Thu May 8 15:35:48 JST 1997