原油価格は低位安定しているとはいえ、中東政治情勢によっては急上昇する
ことも考えられ、加えて為替変動によるコストの乱高下などで、もともと業界
の財務体質が弱いところに、さらに、国民生活や経済全般に大きな負担を強い
ているのが、石油にかけられている効率・巨額の税金です。
輸入される原油には原油関税が課税されています。原油関税は、昭和
30年、斜陽化しつつあった石炭産業を保護するために、暫定的に設けられま
したが、暫定期限が来る度に延期されてきました。その後、たびたび引き上げ
られた原油関税も昭和63年から、やっと税率が段階的に引き下げられること
になり、平成14年から無税となることが、スケジュール化されています。
昭和53年6月からは、第二の原油関税ともいえる石油税が新設され
ました。この石油税は、当初は輸入原油のCIF(輸入価格)に関税を加えた金
額のの3.5%、つまり、(CIF+関税)*3.5%の従課税(数量を基準と
する従量税に対し、価格を基準にして価格の何%という税率の方式)ですから、
原油価格が高くなればなるほど、石油税は高くなる仕組みになっていました。
しかも、59年9月以降は、財源不足を理由に税率は1.2%引き上げられて
4.7%に増税され、さらに63年8月からは、円高の進行でCIF価格が低下
したため従課税から従量税に変更されて、2,040¥KLの大幅な増税とな
りました。91年1月以降の湾岸戦争に際し、湾岸支援追加財源(90億ドル
=約1兆1,700億円)の一つとして創設された「石油臨時特別税」(1、
020円/Kl、約2,300億円)もこの石油税でした。
原油関税、重油関税、石油税に加えて、製油製品には、石油消費税が課税さ
れています。
正式には摘発油税と地方道路税をいいます。昭和24年に一般歳入
を目的に復活しましたが、昭和29年からガソリン税は道路整備財源として
目的税の性格を持つことになりました。その後、昭和30年に摘発油税と地方
道路税に分配されました。しかも、道路整備5か年計画が改定される度に、ガ
ソリン税は引き上げられて、昭和39年には2万8,700円/Kl(摘発油
税2万4,300円/Kl、地方道路税4,400円/Kl)となりました。その
後は、ガソリンの需要急増によるガソリン税収の自然増で税率の引き上げはあ
りませんでしたが、石油危機後は、3回も引き上げられ、現在は、5万3,8
00円/Kl(同4万5,600円/Kl、同8,200円/Kl)と石油危機以前
の87%増となりました。
平成5年からスタートした「第11次道路整備5か年計画」に絡めて、ガソリ
ン税の配分が摘発油税(4万5,600円から4万8,600円/Kl)、地方
道路税(8,200円から5,200円/Kl)に変更されています。
軽油取引税(地方税)・石油ガス税(国税)・航空機燃料税(国
税)