〜オイルショックの名残として〜
ガソリンが高い歴史的背景というと挙げればきりがないのでオイルショック(石油
危機)にまつわる話をします。今から20年ほど前、オイルショックが起こった当時
、政府は市場動態を見ながらガソリン、灯油、軽油、重油などの石油製品の価格につい
て、行政指導を行ないました。その結果、ガソリンが高い価格体系が生まれた
わけです。
では、なぜガソリンが高い価格体系になったのでしょうか。それは、当時の石
油製品のそれぞれの需要量によります。ガソリンは自動車の燃料です。当時、
自動車といえば現在と比べるとまだまだ普及しておらず、どちらかといえばぜ
いたくなものでした。それに対し、灯油は冬の暖房用としてどの家庭でも使わ
れていたし、軽油はバスやトラックなど公共性の高い輸送機関の燃料です。ま
た、重油は主に発電に使われるものです。オイルショック(石油危機)
のような国家の一大事ともいえる社会状況の中では、限られた個人のぜいたく
な消費よりも公共性の方が優先されるのは当然です。よって、ガソリンは高い
ものになってしまったわけです。
しかし、現在、自動車は一家に1台どころでなく2台も3台もある家が増えて
いるほど普及しました。ぜいたく品などではなく生活必需品といっても過言で
はないでしょう。それなのに、ガソリンが高いという石油製品の価格体系が当
時のまま残っているのです。ここにも、社会の変化に対応せず古い慣習をひき
ずったままでいるという政府の失政が現れているといえるでしょう。