映画ストーリー原案『REAL ILLUSION』
[Noise Creators, 1994年]



【REAL ILLUSION あとがき】

私たちが認識している『現実』というものは「現実そのもの」ではなく、「REAL ILLUSION(現実的幻想)」である、ということができるのではないでしょうか。

1994年現在、世界では約40の紛争が起きています。また世界の人口の約 半分は、飢えと戦っています。このような現実と、私たちの認識している『現 実』というのは大きく異なっているのです。
現在、私たちはTVや新聞、雑誌、コンピュータネットワーク、その他さまざ まな情報源から情報を得ることができます。あまりに気軽に、そしてあまりに リアルにその情報が流れてくるので、私たちはその全てを信じてしまう傾向が あります。 しかし、考えてみてください。 私たちの認識している『現実』がいかに主観的で、視野の狭いものであるかを!!

先ほどの飢えや紛争の例をとってみても、私たちが『現実』として認識しているのは、マスメディアを通じて報じられた、そのなかのほんの一部でしかないのです。 また、私たちの手や皮膚や体全体が原子の集合でできている、などということは日常生活の中で実感したりはしません。 よく「リアリティーがある」という言葉を使いますが、現実というのは実はなかなか実感できないものなのではないでしょうか。
現実はわからないから、といって臆病になれと言っているわけではありません。 私たちが認識している『現実』とは、すごくわがままで視野の狭いものなんだ、ということを常に心の片隅に置いておくことが重要なのです。 そうすることが、相手を理解する、情報に流されない、というこれからの地球時代への知恵であるといえるのではないでしょうか。


                    NOISE CREATERS 井庭 崇 , 1994


この物語りに関する御意見、御感想をお聞かせください。

井庭 崇 (iba@sfc.keio.ac.jp)