【第7章】 星屑の箱
しばらくして、徹がふと外を見た。
徹「あれ?ほら、あれなんだろう?」
鴨池の岸が光っているのだ。
信也「鴨池の方だ。行ってみよう。」
3人はΩ館を出て、鴨池の周りの道を走った。
光っていたのは旅人の泉のプレートだった。
麗子がそこにかかれている詩を読んでみた。
すると、一筋の光が鴨池の水面から漏れ、何か四角いものが空中に浮かび上がって きた。
麗子「あれ見て!」
信也「なんだろう?」
3人は芝生の坂を駆け降り、水際に駆け寄った。
空中に浮かんでいるのは透明な箱だった。
光のフレームでできていた。
徹はそれを手にとり、開けてみた。
3人は中をのぞき込んだ。
麗子「きれい!!」
その箱の中には宇宙が広がっていた。
星がたくさん輝いていたのだ。
その箱の中から、光の粒がふわっと出てきた。
そしてそれらはどんどん出てきてどんどん広がり、空へと飛んで行った。
信也「星になってく………・。」
信也はふと、かけらを握っている手を開けてみた。
信也のかけらも黄色い光の粒になっていた。
信也の手の中から光の粒が浮かんだ。
そして、他の光と同じように空高く昇っていった。
3人の周りを数え切れない程の数の光の粒が包んだ。
そして全てが真っ白になった。
信也「(僕は世界の…現実の全てを知っているような錯覚にとらわれていた。
だけど、僕が見ていた現実っていうのは、ほんの一部だった……。
夢が実現しない現実なんてどこにも存在しない……。
だから……、
夢や可能性っていうのは、いつまでも大切にしまっておくものじゃ
ないんだ………。)」
心の中でそう、つぶやいた。