6.分析A 【神奈川中央交通株式会社 本社】

 分布特性の把握と仮説の検証を順次行う。

6−1 分布特性の把握

各項目の各々について分布特性を調べてみた。

一変量

1)あなたは現在、自分専用のパソコン
(以下PC)を持っていますか



             
図A―1:質問項目

(1)の分布
図A―1では、事務系の会社員の為、専用PCの所有率が一般に比べ高い事が確認できる。これは本手法が複数の視覚的な情報の構造を把握するのに有効である事をしめしている。

2)1日1回は触れますか?


    
図A―2:質問項目(2)の分布

図A―2では、PC所有者全員が毎日使用している事が確認できる。

3)あなたがPCを使いはじめたきっかけは何ですか



図A―3:質問項目(3)の分布

図A―3では、半数近くがPCを仕事で必要と感じ、友人や知人から触発され使用始めた事が確認できる。図A―2との関連性からは、以前は仕事の延長、習得の補完でPC利用率が高かったが、近年は友人や知人とのコミュニケーションに利用している事が予測できる。

4)一週間にPCをどの程度使用しますか



図A―4:質問項目(4)の分布

図A―4では、10時間以上が最も多く、公私にわたりPC利用率の高さが確認できる。また、利用の多様性が予測できる。


5)あなたがPCの費用として月々に払っているのは、合計すると平均いくらですか



図A―5:質問項目(5)の分布

図A―5では、インターネットの使用料金が固定なのか、電気代、用紙代、印刷代などPC活用全般を含めた金額を指しているのか不明の為、金額の幅が広くなっている事が確認できる。

また、近年のPC環境は、個人の活用方法、通信メディア関連の運営が多様化している為、選択肢が流動的である。通信料金に関しては、現地点では割引や定額料金などによるサービス提供を開始するなど、利用環境は着実に改善が進んでいるように思われる。が、今後一層この流れを加速させていくためネットワークインフラの整備を含め、制度面・技術面・財政面から総合的に講じていく必要があると考えられる。

6)普段あなたがメールの交換している相手はどのような人が多いですか?



図A―6:質問項目(6)の分布

図A―6では、多様な通信メディアに電子メールが付加された事により、以前からの人間関係に利用、普及してきた事が予測できる。

あなたはPCを使うようになって、次のような事を感じる事がありますか?
7)PCを使用するようになって、常にチェックしないと不安になる



図A―7:質問項目(7)の分布

図A―7では、自分の生活ペースに合わせた利用方法と、情報の送受信がPC単一ではない事が予測できる。

8)束縛されていると感じるようになった



図A―8:質問項目(8)の分布

図A―8では、図A―7の分布図と同様に、PCへの依存度が余り強くなく、自分の生活ペースに合わせた使用方法が予測できる。

9)時間が有効に使えるようになった

Level

Count

Prob

そう思う

10

0.26316

そう思わない

5

0.13158

まあそう思う

20

0.52632

不明

3

0.07895

Total

38

1.00000


図A―9:質問項目(9)の分布

図A―9では、情報リテラシーを有効に利用し、効率の良い生活ペースが予測できる。

10)友人との連絡が増えた



図A―10:質問項目(10)の分布

図A―10では、友人との連絡に、PCの活用はあまり影響を及ぼしていない事が確認できる。

11)ちょっとした用件で連絡を取り合うことが増えた

Level

Count

Prob

あまりそう思わない

11

0.28947

そう思う

3

0.07895

そう思わない

11

0.28947

まあそう思う

8

0.21053

不明

5

0.13158

Total

38

1.00000



図A―11:質問項目(11)の分布

図A―11では、通信メディアの多様性から、連絡などはPC単一ではない事が確認できる。

12)人と直接会って話をする機会が多くなった



図A―12:質問項目(12)の分布

近年、電子メール利用者のコミュニケーション形態が著しく変容している。特に若年層では対面コミュニケーションが減少しつつある。図A―12では、現役の会社員の為、対面コミュニケーションでの時間の制限が予測できる。

13)初対面の人に、どの連絡先を教えますか



図A―13:質問項目(13)の分布

図A―13では、会社員の連絡ツールとして、携帯電話と自宅電話の利用度の高さが上げられる。

14)今後、携帯電話を使用する予定がありますか



図A―14:質問項目(14)の分布

図A―14では、通信メディアの活用方法に携帯電話の著しい台頭が確認できる

あなたは連絡をしたい時、どの手段を用いるのが都合がよいと思いますか
15)緊急の連絡を送るとき



図A―15では、職業上、携帯電話の保有率が高く利用頻度の高い事が予測できる。

16)緊急ではないが、用事のあるとき



図A―16:質問項目(16)の分布

図A―16では、緊急性のないものは、自宅へかけるという活用方法の区別をしている事が確認できる。

17)用事はないが、時間が空いたので誰かと連絡を取りたいとき



図A―17:質問項目(17)の分布

図A―17では、緊急性はないが、プライベートに近い連絡には携帯電話を活用するという多様性が確認できる。

18)余り頻繁に連絡を取っていなかった友人・知人に連絡を取りたいとき



図A―18:質問項目(18)の分布

図A―18では、比較的改まった状況時には、自宅に電話をかける傾向が強い事が予測できる

19)待ち合わせ予定の変更を伝えるとき




図A―19:質問項目(19)の分布

図A―19では、図A―15と同様に緊急の為、活用する事が確認できる。

20)悩みや相談するとき




図A―20:質問項目(20)の分布

図A―20では、TPOに応じて通信メディアの活用方法を選択している事が予測できる。

21)遊びやレジャーの誘いをする時



図A―21:質問項目(21)の分布

図A―21では、図A―20と同様に活用方法の選択が確認できる。

22)あなたの年齢を教えてください



図A―22:質問項目(22)の分布

23)あなたの性別は



24)あなたの現在のご職業を教えて下さい



図A―24:質問項目(24)の分布


現在ご使用のPCに対する不満、要望がありますか

   処理速度が遅い(2)                    
 全てのPCがネットワーク化されていない 
 必要事項を電子メールで行ってほしい   
 仕事用に一人一台を必要としている  
 メモリ、ディスク容量が少ない
・ 起動に時間がかかる
・ 時々、フリーズする
・ 通信速度が遅い
・ 価格が高い

6−2 仮説の検証

 先に提示した仮設の検証に移りたい。

 仮説3「会社員は仕事以外でもPCを良く活用している」から分析に入る。

  1. クロス集計表

@ 一週間の使用量と通信費の相関関係

Count  Total %Col %  Row %

1時間以内

2〜3時間

4〜5時間

6〜8時間

10時間以上

1000円

0
0.00
0.00
0.00

0
0.00
0.00
0.00

0
0.00
0.00
0.00

0
0.00
0.00
0.00

2
5.26
13.33
100.00

2
5.26

2000円

0
0.00
0.00
0.00

0
0.00
0.00
0.00

1
2.63
16.67
25.00

0
0.00
0.00
0.00

3
7.89
20.00
75.00

4
10.53

3000円

0
0.00
0.00
0.00

1
2.63
20.00
25.00

1
2.63
16.67
25.00

0
0.00
0.00
0.00

2
5.26
13.33
50.00

4
10.53

4000円

0
0.00
0.00
0.00

0
0.00
0.00
0.00

0
0.00
0.00
0.00

2
5.26
33.33
66.67

1
2.63
6.67
33.33

3
7.89

5000円

1
2.63
25.00
16.67

2
5.26
40.00
33.33

0
0.00
0.00
0.00

0
0.00
0.00
0.00

3
7.89
20.00
50.00

6

15.79

6100円

0
0.00
0.00
0.00

0
0.00
0.00
0.00

0
0.00
0.00
0.00

1
2.63
16.67
100.00

0
0.00
0.00
0.00

1
2.63

7000円

0
0.00
0.0
0.00

1
2.63
20.00
100.00

0
0.00
0.00
0.00

0
0.00
0.00
0.00

0
0.00
0.00
0.00

1
2.63

8000円

0
0.00
0.00
0.00

0
.00
0.00
0.00

1
2.63
16.67
50.00

0
0.00
0.00
0.00

1
2.63
6.67
50.00

2
5.26

10000円

0
0.00
0.00
0.00

0
0.00
0.00
0.00

2
5.26
33.33
66.67

1
2.63
6.67

33.33

0
0.00
0.00
0.00

3
7.89

11000円

0
0.00
0.00
0.00

0
0.00
0.00
0.00

0
0.00
0.00
0.00

0
0.00
0.00
0.00

1
2.63
6.67
100.00

1
2.63

15000円

0
0.00
0.00
0.00

0
0.00
0.00
0.00

0
0.00
0.00
0.00

0
0.00
0.00
0.00

1
2.63
6.67
100.00

1
2.63

4
10.53

5
13.16

6
15.79

6
15.79

15
39.47

38

 

 



【神奈川中央交通株式会社 綾瀬営業所

1) あなたは現在、自分専用のパソコンをもっていますか



図B―1:質問項目(1)の分布

2) 1日1回はPCに触れますか



図B―2:質問項目(2)の分布

3) あなたがPCを使用し始めたきっかけは何ですか



図B―3:質問項目(3)の分布

4) 一週間にPCをどの程度使用しますか



図B―4:質問項目(4)の分布

5)あなたがPCの費用として月々に払っているのは合計すると平均いくらですか。



図B―5:質問項目(5)の分布

6)普段あなたがメールの交換している相手はどのような人が多いですか。



図B―6:質問項目(6)の分布


あなたはPCを使うようになって、次のようなことを感じることがありますか

7) 常にチェックしないと不安になる
8) 束縛されていると感じるようになった
9) 時間が有効に使えるようになった
10)友人との連絡が増えた
11)ちょっとした用件で連絡を取り合うことが増えた
12)人と直接会って話をする機会が多くなった



図B―7:質問項目(7)(8)(9)(10)(11)(12)の分布

13) あなたは初対面の人に連絡を教える時に、どの連絡先を教えます



図B―13:質問項目(13)の分布

14)今後、携帯電話を使用する予定がありますか



図B―14:質問項目(14)の分布

15) 緊急の連絡を送るとき、どの手段を用いますか




図B―15:質問項目(15)の分布

16)緊急でないが、用事のある時




図B―16:質問項目(16)の分布

17)用事はないが、時間が空いたので誰かと連絡jを取りたいとき



図B―17:質問項目(17)の分布

18)余り頻繁に連絡を取っていなかった友人・知人に連絡を取りたいとき




図B―18:質問項目(18)の分布

19)待ち合わせ予定の変更を伝えるとき




図B―19:質問項目(19)の分布

20)悩みや相談するとき




図B―20:質問項目(20)の分布

21)遊びやレジャーの誘いをするとき




図B―21:質問項目(21)の分布

22)あなたの年齢を教えてください




図B―22:質問項目(22)の分布

23)あなたの性別は



図B―23:質問項目(23)の分布

24)あなたの現在のご職業は何ですか



図B―24:質問項目(24)の分布



7.結論

 今回のデータから、帰無仮説が棄却できなかった。仮説検定によって自分が考える命題が「正しい」と結論付けられるかどうかは、自分が本当に正しいことを証明しようとしているのか、それとも本当は誤っている事を勝手に「正しい」と信じ込んでいるだけなのか「命題の真偽」に依存するだけでなく、標本の大きさや、自分が集めたデータが、どれほど偽りや誤差のばらつきが少ないデータであるか「データの品質」にも依存するからである。

 標本が大きく、品質の良いデータならば、帰無仮説を棄却する事は少しの差でも容易になる。しかし、逆に標本が小さく、データの品質が悪ければ、帰無仮説を棄却する事は容易でなくなる。帰無仮説が棄却できない(=採択された)という事は、通常、命題の証明の為には標本の大きさを大きくしたり、調査・実験の手続きに改良を加えて誤差を少なくするなどの方法を取る事を意味する。分析データの品質を良好に保つ事は、この点からも重要である。

授業で扱ったデータは理想的なデータで解析しやすかったが、現実のデータ解析は予期しない事にぶつかり、試行錯誤の連続となった。特にアンケートの回答から相関関係を証明できるはずであった。しかし、指標との相関はなく、度々考え込むという事態に陥ってしまった。リポートをどのように結論づければよいのかと考え込まざるを得なかった。このような自身の問題意識の深まりの他に、今後の課題とすべき点が多々あり、データ分析の重要性と多様性を深く感じたリポートとなった。

近年、情報化社会に暮らす人達が、豊かな生活をおくる為の行動は急速な発展をしている。その中でも特にシニア達が加齢に伴い様々なコミュニケーションの関係を、通信メディアによって、以前には考えられない新しいコミュニケーションの形態を作り、補っていく様態がある。

 これからも異質な人たちの中から生まれる新しい文化創造を、育て、関わりを持っていきたいと考えている。そして、情報技術による通信メディアの発達が人間コミュニケーションへどのような影響を及ぼし、表れるのか等、注目をしていきたいと考えている。

今回のデータ分析を快く引き受けて下さり、御協力を頂いた神奈川中央交通株式会社様にたいして感謝申し上げる次第である。





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