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グループワーク過程報告

まず始めにグループとして何をとりあげるか、つまり第一の段階として 「行政改革・規制緩和・情報公開」

の中からどれをその研究対象にするかということから始まった。それぞれの分野に関 する基本的な知識は、草野教授が配布した資料をもとにメンバー同士が意見交換を行 うことで各人が得ていった。
その上でどの分野に的を絞ろうかということになったが、規制緩和が自分たちのグル ープがその対象とするにふさわしい、という結論に達した。その理由はまず第一に、 「政治と経済は不可分」という考えがグループ内にあったこと、第二に規制緩和とい う分野は我々の実生活に他の分野と比較して密着しているということ、そして第三に はグループとしてはこの分野に対する学習が最も進んでいた、ということである。
そして次に規制緩和でも具体的にどの分野をとりあげるか、ということになり、メン バーがそれぞれの関心事項にまつわるトピックスを挙げていった。その際に挙がった ものは航空、学校設立、電力、大店法、映画館の開業、ガソリンスタンドの建築基準 、地ビール、といったものだった。その中から、最終的に電気事業界(それも電気料 金を中心に)に関する規制緩和をやろうということになった。 理由は、一つには複数 の人間がこのトピックスを議題としてあげたことと、他のトピックスは盛んにメディ アでとりあげられているのに対して、電気料金という生活に密着したものがあるのに この分野にまつわる規制緩和はあまり議論されていないように思えたからである。あ と、環境問題という観点から電気事業界に詳しいメンバーがグループ内にいたのも理 由の一つであった。
こうして電気料金を軸に規制緩和を考えようということになった。そして基本的な議 論のすすめかたとして、まず現状の電気料金の設定方法とそこに絡んでいる規制を調 査、把握して、その上で現状の問題を指摘していく、そして最終的にグループとして の政策提言を行う、というものを設定した。
 第一の段階としての現状の調査、把握は、まずメンバー全員が一通りメディアセン ターや他の図書館、電力会社が出しているパンフレット等で調べた上で、3、4人のグ ループとなってフィールドワークに出た。フィールドワークの対象となったのは事業 者である東京電力、規制を設けている側である通産省、大口使用者である企業(私鉄 など)である。そこでは、自分達で調べた現状の制度がいかなる目的で制定されてい るのか、またそれはうまく機能していると思うか、そして規制緩和を望むのかどうか といったことを中心にかなり細かなところまで質問したが、大口使用者である企業の 対応が余りにも素っ気ないものだったので、本当に電力分野の規制緩和は望まれてい るのだろうかということになり、メンバー同士での意見の食い違いが出たりもした。 通産省、東京電力については想像よりも対応がよかった。
 以上を踏まえて現状の問題を指摘しようということになった。しかしいかんせんこ のような分野を取り扱うのが初めてであるということと、電気事業界というものに関 しての知識の程度がメンバー各人によって違うことがネックとなり、議論はなかなか 進まず、何の結論も出せず、ただメンバー間で意見が対立したままその日のミーティ ングが終わってしまったということもあった。それでも何とか現状における問題点ま ではうまくグループとして指摘することができたように思える。
 プレゼンテーションの期日が迫るにつれて、メンバー各人がある程度の緊張をもち はじめてきたようだった。しかしながら今回のグループワークにおいて最大の山場と なっていた「グループとしての政策提言」は遅々として進まなかった。これもメンバ ー間の理解度の差があったことが大きな原因であった。比較的統率力がないが故に「 何でも屋」的存在にリーダーが徹していたこともその原因の一つであったように思う 。そしてここでこれまでメンバー各人が少なからず疑問に感じていたことが表面化し た。それは、果たして今私たちがやろうとしていることは「政治」的側面をもったも のなのだろうか、これは「経済」なのではなかろうか、政治のプレゼンテーションな のにこんなことをやっていていいのだろうか、ということだった。これについてはあ る程度割り切らなければいけない、そうしないとプレゼンテーションに時間的に無理 が生じてくる、ということで何とか落ち着かせたが、議論は行ったりきたりの連続で あった。このような諸問題を抱えていたこの時期、つまり政策提言の作成過程が今回 のグループワークで最もグループとしての雰囲気が悪かった時だったように感じる。
 しかしメンバー各人のプレゼンテーションにかける意気込みにより、何とか政策提 言も自分達が納得のいくところのものに仕上げ、プレゼンテーションの形式について の問題も、時間的制約のある中、疑似フォーラムという形をとることで解決した。13 分という極めて短いプレゼンテーションではあったが、十分とはいかないまでもこれ まで約2か月間のあいだグループとしてやってきたことの成果が発揮されて、メンバー 全員が「グループワークをやってよかった」という気持ちになったのは確かである。


Atsushi Kusano
Thu May 8 15:35:48 JST 1997