現在ビールの価格破壊が進む中で大きな役割を果たしているものに、発泡酒と並んで 輸入ビールがあげられる。輸入ビールは、93年の国税庁の通達により、酒類販売免 許を持つ大手スーパー、ディスカウントストアが大幅に増えたことから、94年の輸 入量は前年の2.8倍(323848Kl)になった。また国内シェアーも93年度の 1.6% から4.3% へと確実にのびている。
主な輸入相手国としては、1位のアメリカから年間212623Kl、2位のベルギー からはダイエーが売り出した「バーゲンブロー」など、3位のカナダからは「ラバッ ト」などを輸入している。
今輸入ビールには価格のねじれ現象が生じている。輸入品には酒税のほか関税が課せ
られるが、関税は酒税と異なり、ビールが1缶あたり2.27円に対し、発泡酒は1
5.30円と、大幅に発泡酒が高くなっているのである。しかも分類差等課税制度は
日本特有のものであって、国際的にはビールと発泡酒の定義は必ずしも明確でないた
め、関税をかける段階でビールとするか、発泡酒とするかがあいまいである。いった
ん輸入したところで、海外でビールと一般的に呼ばれているものは日本の細かい定義
においては発泡酒に分類されるものが多い。(最近売り出された「BEER」は商品名と
矛盾して日本では発泡酒である。)大手ディスカウントストアは、関税が安くすみ(
ビール扱い)、酒税も安く押さえられる(発泡酒扱い)「輸入発泡酒は酒税と関税の
法の矛盾をついたアイデア商品」といいきる。(前述の「BEER」を輸入したヤスブン
の末定社長も「缶にBEERと表示してある以上は関税は当然ビール扱いのはず」と主張
している。)一方大蔵省では「これまでになかったケース」と戸惑いを見せ
ている。