このような流れにおいて現在の大手ビール会社はどのような見解を持っているのであ ろうか。それを探るため私たちは日本の大手であるアサヒ、キリン、サッポロ、サン トリーの4会社にファックスや手紙、電話などによってアンケートを行った。
まず、発泡酒を売り出していないアサヒとキリン(キリンは発泡酒醸造に必要な雑酒 の醸造免許を持っていない。)に、今後売り出す予定があるかどうかを訪ねてみたと ころ、どちらの会社も現在はまだ消費者に発泡酒をビールと誤認させるような形での 発泡酒販売は反対していると答えたが、加えてもし消費者がそれをビールとして受け 入れるのなら今後検討していくとも答えており、消費者に偽物の味を販売したくはな いと言いながらも最終的にはすべてを消費者の選択に任せるといったもので あった。
次に最近話題になっている地ビール産業についての質問をしたところアサヒ、キリ
ン、サッポロがそれぞれブルワリーパブを持っており、そこで出来立てのビールを楽
しんでもらおうと独自の地ビールを出しているとのことであった。また、地ビールの
魅力について訪ねたところ、比較的少ない設備投資で済み、製造するビールの味につ
いて経営者がその思い入れを実現できるところにあり、それによってビールの味につ
いて選択範囲が広がることをあげており、そのなかでアサヒは品質の善し悪しについ
ては従来のビールと変わらないと断言していた。加えて、マイクロブロワリー産業の
振興によって従来のビール産業が受ける損害について訪ねたところ、現段階では判断
が難しいが危惧は抱いていないとのことであった。また、キリンはむしろビール市
場の活性化につながるという点からそれを評価していた。