プレゼンテーション時の原稿に時間の都合上収まり切らなかったエピソードを ここで紹介する。各班の報告がかなり詳細なものであったため、こちらとして も抜粋に苦労したというのが本音である。とりあえず全省庁分を手短に紹介し ていきたいと思う。
大蔵省では…
こちらが手に入れることができると分かっている資料については
すでに何部も印刷済みで、勝手に持っていっても良いという状態であった。広
報課に行ったが、広報関係すべてを把握しているとはいい難い様子だった。
厚生省では…
感染症サーベイランスに関しては、閲覧・コピーも自由
だった。エボラ出血熱疑惑については、担当者の丁寧な説明を聞くことができ
たが、遺体検査に関する資料は少し見ることができただけで、コピーは担当者
の一存では許可できないとして、断られた。無承認無許可医薬品の問題につい
ては、書店で基準が細かく載っている書籍があるという。ただし、判断結果に
ついては、企業秘密ということで非公開になっている場合が多いそうだ。
文部省では…
「隣で『挨拶回り』に来たという会社員は面会を断られていた。サリン事件以来、
そういうことはお断りらしい。``学生さん''にはずいぶんと丁寧だったが」と
いう報告だった。コピーは、していませんといいつつコピーしてくれた(量が
少なかったためか)。
法務省では…
「グチられた」「目で訴えた」の他に、「情報公開をいつでも仕事
として行なうという意識が全くないように見え、『情報を公開してくれ』と
官庁を訪れること自体例外で、業務外の仕事ととらえられている。」という報
告があった。
警察庁では…
本来開示されているはずの『警察官の採用情勢について』
が『そういったデータは取っていないし、配布するような資料もない』と言われ、入
手できなかった。もう片方の資料(第16回参院選選挙違反取締り結果)も、
全然受付で頼んだ資料とは別の資料が出てきた(結局選挙違反取締り状況を表
にまとめたものを入手できた)。
防衛庁では…
応対は丁寧。ただ請求資料の一部(日米安保事務レベル
協議の概要)の最新のものが平成元年度のものであったことが気になるという
報告があった。
自治省では…
警察庁と同じ建物にあったためか、チェックが荷物検査
などあり少々厳しかった(地下鉄サリン事件の影響)また、資料のコピーが取
れない理由として、お金を取ってコピーをできるシステムがまだ確立していな
いからできないということだった。
通商産業省では…
3人で応対され、1人が資料を探している間に、他の2人からいろいろ聞かれ
た。コピーはしてくれた。
郵政省では…
原稿にもあるように、無線周波数表が特に厳しかった。
もう一方(郵政省労働組合組織状況)は比較的楽で、説明もしてくれたという。
経済企画庁では…
(電源開発)基本的なところから説明してくれた。少々突っ込んだ資料を求め
ると、『業務計画』なるものを持ってきて説明してくれた。これに関しては一
部はコピーして貰うことができたが、全部はその場の判断ではできないという
ことだった。市場開放問題については、市民からの苦情受付が年10数件であ
り、そのほとんどが外務省経由の外国からの要求であることに、驚きとショッ
クを受けたという報告があった。PR不足というのも大きな問題であるといえる。
総務庁では…
諸外国の情報公開制度の文書をもらいにいった学生が、
『また慶應SFCの人ですか』と少々ウンザリ気味に言われたらしい(→たくさん
のグループが問い合わせ、もしくは訪問をしたためか? 筆者注)
総理府では…
2つの文書(薬物乱用防止対策・調達契約手続)の部署によって
対応は全然違った。薬物の方は、応対も極めて丁寧で、身分も聞かず何に使う
のかを聞かれただけで、コピーが欲しいというと現物をそのままくれた。所要
時間も5分くらいで、「おそらく僕らが一番短時間だったと思う」という感想
が残っている。一方、調達契約手続の方は、原稿にも触れたような次第である。
農林水産省では…
3回訪問した(1度目はパンフレットをもらっただけ←膨大な資料に圧倒され
た、2度目は土曜日に行ってはまり、3回目で入手できた)応対は非常に丁
寧で、真の目的を隠すために使った『プレゼンに使う』というに非常に喜
んで下さり、そしてこの農産物検査要綱(外国産小麦輸入)に関して何から
何まで教えて下さった。(ありがとうございました -筆者注)
建設省では…
タライ回しにされた方(有料道路の新規許可について)は原稿の通りだが、も
う一方、日米建設協議合意文書の方は、閲覧できるまでにかなりタライ回しに
あったものの、それからは丁寧で、大変楽しい一時を過ごせた。しかしそれは
「若手の室長に当たったということが大きいような気がする」という報告だっ
た。
労働省では…
両方とも、簡単に入手することができた。雇用対策基本計画についてはそれに
ついての専門の本をくれた。コピーも自由にとらせてくれた。労働時間の現状
は、資料請求(産業・規模・就業形態別労働時間、労働時間の国際比較など)
にすべて相当する部分の資料をコピーしてくれた。感想としては、一般国民も
結構いい資料が手に入れられることと、しかし官僚と一般国民を比べた場合、
まとまった情報を得られる官僚とそうではない国民との間になお開きがあると
いうことは確かであるということだった。
科学技術庁では…
コピーを原稿で挙げた理由により断られたが、それ
にしては閲覧のみの資料はたくさんあり、コピー不可では果たして公開という
言葉が妥当なのかと疑ったという。
環境庁では…
労働省よりもアットホームな雰囲気だったが、とても忙
しそうだった。光化学大気汚染の方も、丁寧で詳しい解説をしてもらい、資料
もただで頂いた。庁舎の中を少し探検したが、喫茶店や生協みたいなところも
あり、驚いた。
国土庁では…
水質資源開発基本計画に関しては、貰えるだけ貰って帰っ
てきてしまい、深く突っ込めなかったという後悔があるということだった。身
分などを明かす必要はなかった。
運輸省では…
窓口が実は整備されておらず、そのスペースは物置きと化していた。窓口の机
の上には、閲覧資料、事務時間会議資料が無造作におかれており、勝手に見る
と叱られた。
外務省では…
受付でまず待たされて、言われたのが
『同じ資料が横浜の図書館にもあるからそちらに行ってくれ』
『アポがないと困る』
『自分で調べてから来て下さい』
であった。ただ、何とか頼み込んで入れて
もらった閲覧室の職員の応対は比較的良かった。
北海道開発庁では…
簡単に見せてもらった(防災業務計画の方は担当者の話を
聞くことが条件だった)が、庁全体が合同庁舎のワンフロアーしかなく、統廃
合の話が出るのも納得できた。
沖縄開発庁では…
同じく簡単に見せてもらい、「楽勝」だったらしい。15分
くらいで済んだ。沖縄開発庁はあまり忙しくない官庁なのではないかという
かなり鋭い指摘があった。