いまだに国家の法制化をみない情報公開制度であるが、過去においては複数回、野党による法案が提出されている。しかしいずれも審議未了などで廃案となった。その内訳は次のようなものである。
ここでは93年度に提出された最も新しい情報公開法案の内容を大まかに見てみよう。
「公務員又は公務員であった者に関する情報のうちその職務に関するもの」は原則公開
「国の会計管理に関する事務の処理に際して行政機関の職員が作成し、又は取得した行政資料に記録されている情報であって、開示することが公益上必要であると認められるもの」や「内閣総理大臣その他の国務大臣及び国会議員並びにこれらの職にあったものに対する情報であって、開示することが公益上必要であると認められるもの」は必ず開示。 (同法案8条1項1号)
「イ 犯罪の予防、犯罪の捜査その他の公共の安全と秩序の維持に関する事務」
<以下15の例示(略)>
『個人に関する情報で……』との規定について、最も重要な点は、公務員の職務上の情報を除外したところにある。「国民は、公務員の職務上の行動を知ることに正当な利害を有する」 から、それらの公開をプライバシー権を根拠に拒否することはあってはならない。
『法人その他の……』の条項は、前述の通り企業の不利益と国民の公益とを比較衡量しなければならない問題であるが、『国防』そして『外交』に関しても、一定年限を過ぎれば非公開とするべき法益が消滅する可能性もある。そもそも、そういった秘密こそが最も妥当に見えながら、実は最もファッショの端緒に近い所にある脅威なのかもしれないのだ。