第二番目の政治的要因としてのロビー活動についてはNEWSWEEK1997.3.26にも
特集として組まれているように、中国の対米政界工作として最恵国待遇があげ
られ、これはリアディ家を含めた猛烈なロビー活動の結果とされている。
現在、中国からの政治献金疑惑も取りざたされているように、アメリカへの中
国系企業の政治献金者の裏には中国政府の存在が見え隠れしている。というの
は今回、政治献金疑惑に名が上がっている人物はみな中国政府の息のかかった
人物であり、さらに中国政治献金疑惑の中心人物であるジョン・ホアンは海外
からの違法献金を受け付けた嫌疑、そして米通商政策に関する機密情報をリッ
ポー・グループだけでなく、中国の関係者に流した嫌疑がかけられている。こ
のほか民主党への献金に中国政府が関与していたとの疑惑も噴出している。
クリントン大統領が、政治資金の見返りに通商上の便宜を寄与したとの疑惑の 証拠はない。確かに、ロビー活動の成果だけではなく、ボーイングやアメリカ ンエクスプレスなど中国市場を失いたくないアメリカ企業も、この時期クリン トン政権に中国との通商維持を働きかけており、アメリカ国内の産業界からの 圧力も強かったことが更新の大きな理由といえる。しかし、一連の献金疑惑を 追っている連邦視法当局者によると1995年に100万ドル近くの金がアメリカに 流れたと言われており(NEWSWEEK 1997.5.21)、最恵国待遇の更新の政治的理 由として中国のロビー活動は無視出来ないと言えよう。また、NEWSWEEK1997.3.26 によると、最恵国待遇など貿易問題で中国のロビー活動を助けようというアメ リカの経営者は多く、最恵国待遇の更新を前に、このような様々な政治的圧力 があったといえよう。