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第5週: ホストとネットワーク

5. 1 ホスト名
5. 2 いろいろなサーバ
5. 3 コンピュータの遠隔利用
5. 4 練習問題
5. 5 端末モードでの emacs の使用
5. 6 練習問題
5. 7 ファイル転送
5. 8 練習問題
5. 9 他のユーザとの会話
5.10 宿題
5.11 おまけ

5.1 ホスト名

コンピュータネットワークとは,複数のコンピュータを通信回線で結んだものです.CNS のように,同じ敷地の中にあるコンピュータ同士を結んでいるものをローカルエリアネットワーク(local area network)と言います.それに対して,長距離回線で遠くのコンピュータと結んでいるものを広域ネットワーク(wide area network)と言います.インターネットは,複数のネットワークを結び,ある一定のやり方で通信するようにした広域ネットワークの一種です.

ネットワークに繋がっているコンピュータをホスト(host)と呼び,区別するために名前が付けられています. これをホスト名(host name)といいます. 今使っているコンピュータのホスト名は hostname コマンドにより知ることができます.

% hostname
zz999
%

ホスト名はそれぞれのネットワークの中で重ならないようにつけますが,インターネットを構成しているネットワークでは,他のネットワークに同じ名前のコンピュータがある可能性があります.そこで,インターネット内でコンピュータを指定する時は,後ろにドメイン名を付けます.例えば,SFC 内の zz999 というホストはインターネット内では zz999.sfc.keio.ac.jp とします.

5.2 いろいろなサーバ

サーバ(server)とは,あるサービスを提供するソフトウェアのことです.サーバソフトウェアを動かすハードウェアのこともサーバと呼びます.CNS には次のようなサーバがあります.括弧の中はホスト名です.

5.3 コンピュータの遠隔利用

104ページ

ネットワークに繋がっているコンピュータを使う時は,プログラムを実行するコンピュータと,入出力を行うコンピュータが同じである必要はありません.つまり,手元のコンピュータから遠くにあるコンピュータへ命令し,その結果をまた手元のコンピュータで表示して見ることができます.手元のコンピュータをローカルホスト(local host), 遠くにあるコンピュータをリモートホスト(remote host)と言います.

端末エミュレータを使ったリモートログイン

遠くにあるコンピュータを使う時には,そのコンピュータに対してログインの手続きをしなければなりません.これをリモートログイン(remote login)と言います.CNS では端末ウィンドウで ssh コマンドを実行すると他のホストにログインできます.

% hostname
zz001
% ssh ccz00
hattori's password: 
Sun Microsystems Inc.   SunOS 5.6       Generic August 1997
% hostname
ccz00
% ls
......
% logout
% hostname
zz001
% 

ログインに関係するコマンド

95ページ

X クライアントの実行

CNS のコンピュータでは,画面にウィンドウを表示するために X ウィンドウシステム(X window system)を使います.画面表示を行うソフトウェアを X サーバ(X server),emacs や端末エミュレータのようにウィンドウを使うソフトウェアを X クライアント(X client)と言います.リモートホストで X クライアントを実行する場合,一般にはウィンドウを表示する X サーバの指定と,接続の許可をする必要がありますが,ssh でリモートログインした場合は自動的に設定されます.

パソコンから CNS を利用する

イーサネットまたは電話回線を経由してパソコンを CNS に接続し,CNS 内のコンピュータを遠隔利用することができます.

具体的な設定方法,操作方法は推奨ラップトップ講習会で説明します.それ以外の機種を使っていて,うまくいかない人は学生コンサルタント(ε301)に相談して下さい.FreeBSD や Linux などの UNIX 系の OS を利用する場合は,CNS のコンピュータとほぼ同じ操作方法で使えます.

5.4 練習問題

  1. 隣のコンピュータにリモートログインしなさい.ホスト名はディスプレイに貼ってあります.
  2. who コマンドを使って,ローカルホストとリモートホストを誰が使っているか調べなさい.同じ名前が2回出てくることがあるのはなぜでしょう?
  3. last コマンドを使って,自分の前に誰が使っていたか調べなさい.一画面におさまらない場合は,パイプと more コマンドを使って表示しましょう.4.9 宿題4.7 プリンタに関するコマンド
  4. write コマンドを使って,隣の人にメッセージを送りなさい.

5.5 端末モードでの emacs の使用

131ページ

端末エミュレータは文字情報のやり取りしかできないので,マウスによる操作や画像の表示はできません.その代わり,X サーバが無くても動きますし,送受信する情報量が少ないので,低速のモデムを経由しても快適に操作できるという利点があります.

emacs は,標準では X クライアントとしてウィンドウとマウスを使用するようになっていますが,端末エミュレータだけで動かすこともできます.そのためには,端末ウィンドウで -nw オプションを付けて起動します.

% emacs -nw

すると,端末ウィンドウの中で emacs が動作します.この状態では emacs はキー入力だけを受け付けます.端末エミュレータの機能として,表示されている文字列をマウスで別のウィンドウにコピーできたりしますが,これは emacs の機能ではありません.注意: emacs が動いている端末ウィンドウにマウスで日本語の文字列をコピーすると,変なキーを押したと解釈されて,滅茶苦茶な動作をすることがあります.

マウスが使えなくてもメニューを使うことはできます.キーボードでメニュー項目を選択するには次のようにします.

  1. M-` を押します.
  2. メニューの最上位の項目が表示されます.項目の前についている一文字のアルファベットを押すか,上下矢印で順に見ていって RET を押すかして選択します.
  3. 選択した項目に下位のメニューがあれば,それが表示されます.

emacs のキー操作をまとめたものが /pub/sfc/ipl/1a/emacs-key.ps にあります.印刷して手元に置いておきましょう.ポストスクリプト形式なので

% lpr -Pnps15 /pub/sfc/ipl/1a/emacs-key.ps

で印刷できます.

5.6 練習問題

  1. キーボードによる emacs の使い方を説明したチュートリアルがあります.C-h t とすると表示されますから,画面の指示に従ってやってみなさい.
  2. キーボードでメニュー項目を選択し,単純な文字列の検索をしてみなさい.4.3 検索と置換

5.7 ファイル転送

112ページ

あるホストから別のホストへファイルをコピーすることをファイル転送(file transfer)と言います.CNS 内ではホームディレクトリがすべてのホストで同じように使えるので必要がありませんが,研究室のコンピュータや自分のパソコンと CNS との間でデータをやり取りする時に使います.

CNS では,ftp コマンドでファイル転送を行います.まず,次のようにしてログインを行います.

% ftp zz000
Connected to zz000.
220 zz000 FTP server (Version 4.130 1998年10月6日 (金) 15時0分53秒 JST) ready.
Name (zz000:hattori):
331 Password required for hattori.
Password:
230 User hattori logged in.
ftp>

ログインが成功したら,次のコマンドを使って転送を行います.

注意: OS によって標準的に使われている文字コードや改行文字が違うので,転送したファイルの文字コードを変換しなければならない場合があります.文字コードについては第7週で詳しくやります.

5.8 練習問題

  1. ホームディレクトリ以外はそれぞれのホストに別のファイルが存在しています.隣のホストにリモートログインし,/tmp ディレクトリの内容を比べてみなさい.
  2. ローカルホストの /tmp に好きな名前でファイルを作り,それをリモートホストの /tmp にコピーしなさい.

5.9 他のユーザとの会話

100ページ

ネットワーク内のどれかのホストにログインしている他のユーザと,文字を使って会話することができます.

  1. 端末ウィンドウで phone コマンドを実行します.引数は,相手のログイン名と,ログインしているホスト名を@でつなげたものです.相手が複数の端末ウィンドウを使っている時は,2番目の引数で端末名を指定することもできます.
    % phone t00999xx@zz000
  2. 相手の端末ウィンドウに,誰かが phone で呼び出しているというメッセージが表示されます.
  3. 相手も phone コマンドを実行すると,接続が成立します.この時は相手のログイン名を指定する必要はありません.
    % phone
  4. 端末ウィンドウが上下に分割され,自分の入力した文字は上に,相手の入力した文字は下に表示されるようになります.
  5. ESC set code jis と入力すると,表示がかな文字に変換されます.
  6. 終了する時は C-c を押します.画面の下に Really quit? と表示されるので,y を押します.

5.10 宿題

  1. (自宅にパソコンがある人のみ)自宅から CNS にリモートログインし,端末モードの emacs でメールを読み書きしてみなさい.
  2. 仕事をしている時に他の人から write や phone がかかってくると,画面のメッセージが邪魔になることがあります.そのような時は mesg -n を実行すると,他の人からのメッセージを拒否することができます.端末ウィンドウを2つ使い,片方で mesg -n を実行しておいて,もう片方から write と phone を実行してみなさい.

5.11 おまけ

emacs には,他のホストにあるファイルを編集する時,自動的に ftp を実行してくれる ange-ftp という機能があります.ange-ftp の使い方はこちらを見て下さい.


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