Summer Readings --- 井庭研2010 夏休みの課題

2010.08.04 Wednesday 23:28
井庭 崇




■■■ より深く読むためのヒント

特に新規生にとっては、これらの文献で扱っているテーマや、その背後にある思想を探るのは難しいことだと思うので、その糸口となるヒントを示しておきます。以下の点に注目しながら読んでみてください。

* * *

(1) The Timeless Way of Building (Christopher Alexander, Oxford University Press, 1979) *Hard cover [邦訳タイトル:『時を超えた建設の道』]
 
パターン・ランゲージの思想を書いた本です。著者は、数学出身の建築家。ここでは、近代の都市で失われてしまった「古きよき時代の街がもつ質感・秩序」をどのように取り戻すか、という考えが書かれています。パターン・ランゲージは、暗黙知を記述して共有するための方法だといわれていますが、アレグザンダーが目指したのは、単なる暗黙知の記述ではありません。コミュニティの自生的な秩序(spontaneous order)による全体性の成長を支援しようとしました。だからこそ、彼は建築家でありながらも、デザインされた構造そのものより、生成プロセス(generative process)の方を重視します。ということで、以下のことを気にしながら読むといいでしょう。

・著者アレグザンダーのそもそも問題意識は何なのか?
・"quality without a name"(名づけ得ぬ質)とは何か?
・"alive"(生き生きとした)とはどういうことか?
・アレグザンダーは、建物や町の"element"(要素)の本質は何だと考えたか?
・"pattern"とは何か?
・"pattern language"とは何か?
・"pattern language"は何を支援するのか?
・パターン・ランゲージが"language"(言語)であるとはどういうことか?

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