Summer Readings --- 井庭研2010 夏休みの課題

2010.08.04 Wednesday 23:28
井庭 崇


・"universality"(普遍性)とはどういうことか?
・なぜ"universality"に着目することが重要なのか?
・なぜ研究手段として"simulation"が重要なのか?

◇井庭研の「動きの地図をつくる」プロジェクトでは、システムの"history"をネットワークとして表現するという方法をつくりながら、実際に分析し、さらにそのようなネットワークがもつ"universality"を探究しています。この方法は最近の僕らのオリジナルな方法なので、本には登場しませんが、この本で書かれていることが重要な基盤となっていることは間違いありません。

◇"universality"の話は、A. -L. Barabasiの『Linked』にも出てきます。春学期の井庭研の輪読文献であり、また「シミュレーションデザイン」の授業の教科書でもあったので、井庭研メンバーのほとんどの人がすでに読んでいます。まだ読んでいない人は、『Linked』も、自分のリーディングリストに加えておいてください。

* * *

(3) Orality and Literacy (Walter J. Ong, Routledge, 1988) *paperback [邦訳タイトル:『声の文化と文字の文化』]

この本では、昨今よく目にするような「リテラシー」ではなく、口頭でのコミュニケーションの「オーラリティー」に着目している、世界的に有名な本である。面白いことに、「オーラリティー」こそが人類がもともと持っていて重要だった能力なのだ、という視点で、歴史を振り返っている点である。人類の歴史のなかで文字が誕生してから初めて、リテラシー(読み書き能力)ということが問題になった。しかし、人類が文字を使う前にも、言語は存在していた。その時代の言語というものは、文字として記録されることなく、口頭で話す、というなかでのみ存在していた。いうなれば、文字という「継続的に存在するもの」ではなく、音という「生成された途端に消滅してしまうもの」としてのみ、言語は存在していた。昔の「口承文学」の語り部は、定まった物語を記憶して再生していたのではなく、物語のパターン(型)をいくつももっており、それを即興で組み合わせることで、物語を語っていた。これがリテラルな(文字の)時代より前の、つまりオーラルな時代の記憶とコミュニケーションの特徴であった。

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