The Sense of Wonder

2010.08.16 Monday 00:08
井庭 崇



最近ふと、この本のことを思い出し、読み直してみたのだが、僕が昨年経験したのはまさにこの感覚の回復なのだ、とわかった。


子どもを公園につれていき、一緒に自然を楽しむ。そのなかでおそらく僕自身が相当変わったのだ。生き返った、と言ってもいいかもしれない。

そうやって感覚を取り戻しながら、ただでさえ興味深いカオスを生み出す数式、しかもかなりシンプルな数式のなかに、まだ誰も知らない美しい秩序を見つけたのだ。その不思議さと美しさに、思わず感嘆のため息が出たり、わくわくして眠れなかったりもした。

そして、自然と数学、無限と有限、かたちと成長、多様性、普遍性、生命、個、・・・そういったものに思いを馳せることも多くなった。


このような境地に達してしまったので、ここ数年の社会事例を追ったり、何かの作業を支援するツールをつくる、というような研究は、もはや僕には魅力的ではなくなってしまった。もっと言ってしまうと、いまの社会の表層的な問題/流行への関心はどんどん薄れていってしまった。

振り返ってみると、ここ10年、「実学」的であろうともがくなかで、自分が心から突き動かされ、情熱をもって取り組むことができるテーマから、ずいぶんと離れてしまったのではなかろうか。社会や技術の研究に、必要性は感じても、強い知的好奇心を感じることは、僕はほとんどないようである。

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