パターン・ランゲージのライターズ・ワークショップ

2010.09.08 Wednesday 00:19
井庭 崇


PLoP(International Conference on Pattern Languages of Programs)など、ソフトウェア分野のパターン・コミュニティでは、「ライターズ・ワークショップ」という集まりで、パターンのブラッシュアップが行われている。

ライターズワークショップは、「発表者がプレゼンテーションをして質疑応答をする」といういわゆる学会発表スライルとは全く異なる形式で進められる。詩や小説の作家たちが行っていたこの方法を、リチャード・ガブリエルがソフトウェア・パターンの分野に導入したと言われている。

以前、論文のなかでライターズ・ワークショップについて書いたことがあるので、そこから抜粋して紹介することにしたい。



ライターズ・ワークショップには、そのワークショップで取り上げられる論文の著者と、有志の参加者が参加し、1 ワークショップあたりだいたい10 人前後になる。カンファレンス開催中は、原則として同一のワークショップに参加する。論文では、大抵1?10 個のパターンが提案されている。その論文を、1論文あたり約1 時間半かけて、具体的な改善に向けての話し合いを行う。そこでは、批判的なコメントではなく、その論文をよりよくするためのポジティブで具体的な改善案を提示することが求められる。

このワークショップがユニークなのは、そのとき取り上げられている論文の著者は "fly on the wall"(壁にとまった蠅)ということで、黙っていなければならない、という点である。つまり、通常の学会発表のような口頭発表と質疑応答という形式ではなく、あくまでも「記述されたもの」を重視し、それについての話し合いが行われるのである。このようなプロセスによって、著者は本来意図していたことがうまく記述できているかを知ることができる。知識を「言語化」する手法だからこそ、言語化されて「記述されたもの」を重視するというのは納得がいく話である。

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