パターン・ランゲージのライターズ・ワークショップ

2010.09.08 Wednesday 00:19
井庭 崇



また、ワークショップにおける著者の扱いも興味深い。ワークショップ中は、著者の名前は呼ばず、"the author" という言葉を使い、著者が誰であるかということは取り上げられない。ただし、論文査読のような目隠しがなされているのではなく、実際にはその部屋に著者がおり、それが誰なのかは十分わかっているのであるが、その人がいない「振り」をして話すのである。著者の方も、論文で言いたかったことの防衛(defend) はしないことになっている。

洗練のためのコメントも、著者に対してするのではなく、ワークショップ参加者に対して表明して、話し合うというスタイルをとる。これは、パターンが、発明するものではなく、発見するものであるということと関係している。パターンの論文の著者は、世界や人びとに埋め込まれた実践知を掘り起こし、記述したという人だと捉えることができる。

久保淳人, 鷲崎弘宜, 吉岡信和, 井庭崇, 大久保隆夫, 第15回プログラムのパターンランゲージ会議(PLoP2008)参加報告, 情報処理学会ソフトウェア工学研究会第163回研究集会, 2008. より井庭担当部分抜粋



最後に、以前僕が参加したPLoP2007のライターズワークショップの写真を載せておきたい。最近のPLoPは他の学会と連動して開催されるので、ホテルでの開催になってしまっているが、以前は雰囲気抜群のAllerton Houseで行われていた。これが僕のライターズ・ワークショップの原点。

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