発想言語「新生復活の未来ヴィジョン」

2012.06.16 Saturday 22:02
井庭 崇


未来ヴィジョンを考えるときの一つの発想の仕方として、「新生復活の未来ヴィジョン」と呼び得るものがあるように思う。

それを、発想言語の形式(Context、Clue、Consequence)で書くと、以下のようになる。


「新生復活の未来ヴィジョン」
Context:新しい時代のヴィジョンを掲げる。
Clue:過去と現在の二つの時代の特徴を象徴的に表現し、過去にあったよいもので現在失われたものを新しいかたちで復活させることを考える。
Consequence:未来の話は本来はイメージしにくいものだが、過去にあったものが変化したというものであば、未だ見ぬものへのイメージがわき、説得力も出る。


この考え方は、いろいろな著者に見られる。

例えば、この前取り上げたモリス・バーマンは、中世までは神の存在による「参加」があったが、近代は科学的な醒めた思考が支配して、自分と世界が分離してしまった。だが、中世の世界観には戻れない。だから、新しいかたちで「参加」が可能となる思想が必要だ、と言う。

パターン・ランゲージを提唱した建築家クリストファー・アレグザンダーも、同様の発想をする。昔は無意識的に「よい質」をもった街がつくられ、育てられてきた。しかし、近代社会では物の製造のように建築がつくられ、そういったよさが失われた。しかし、無意識的な時代には戻ることはできない。だから、意識の文化の上で、古きよき時代の質を取り戻す新しいプロセスとツールが必要だと考える。そのツールが、パターン・ランゲージであった。

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