ある一人の研究者の転換点をめぐるメモワール

2013.02.14 Thursday 07:08
井庭 崇




それまでは創造的なコラボレーションを、どのように社会システム理論(ルーマン)で説明できるかを考えていたが、『How Mathematicians Think』のように、創造において何が起きているのかを考えるべきだと考えるようになった。個人でもチームでも、創造とは何か、という。


このころ2つの発表の機会があった。ひとつはPeter Gloorさんが中心に組織化しようとしていたカンファレンス、Conference on Collaborative Innovation Networks (COINs)である。この年初年度で、僕も運営側で手伝った。

もうひとつは、建築系のWebマガジン、10+1 web(テン・プラス・ワン)。こちらは、たしか、社会システム理論によるパターン・ランゲージの理解のような依頼だったと思う。

そこで、この2つの論文で、日・英で、自分の創造性の理論というものを書いてみようと考えた。2009年の夏頃の話。

まず考えたのは、創造性にとって重要な要素は何か。ひとつめは『How Mathematicians Think』にあったAmbiguityであることは決めていた。他にも、Analogyは絶対重要だろうと考えた。2つ出たので3つ目はなんだろう?しかもA始まりの言葉だと素敵だと考えた。

いろいろAから始まる言葉を考えてみたが、これまで自分が大切だと思ってきた概念で、しっくりくるものはなかなかなかった。そして、延々考えていった挙げ句に、ふと、AutopoiesisもAから始まる言葉であり、創造には不可欠な気がしてきた。しかし、ほかの2つの言葉とレベルが合わない。

そう考えていると、Autopoiesisこそが絶対的に重要なのではないか、つまり3つのキーワードではなく、Autopoiesisで説明すべきではないかと考えた。そこで、ルーマンの社会システム理論を参考に、創造システム理論というものを考えてみようと考えた。

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[Serene Bach 2.20R]