創造社会とクリエイティブ・メディア
2013.02.16 Saturday 08:06
井庭 崇
つまり、「組織によって創造がなされる」ことから「創造の過程でコミュニティが形成される」ことへのシフトが生じるのである。
もちろん、企業・組織が無くなるというわけではない。しかしながら、創造社会における企業・組織あり方は、人々が創造的な活動をすることを踏まえたかたちに変わっていくだろう。
従来は、個人と企業・組織の関係は「労働」や「商品・サービス」の関係に限定されてきたが、創造社会においては創造活動の協働的なパートナーシップが個人と企業・組織の間で築かれることになるのである。
そうなれば、企業・組織における知識や情報の蓄積や管理のあり方も変化を迫られることになる。創造活動が組織的な境界を超えて縦横無尽に展開されるようになるため、それらを囲い込むことはできなくなり、また囲い込むことが戦略上不利になる可能性が高くなる。
そのため、暗黙的であれ形式的であれ、企業・組織内に蓄積される知識・情報をどのように記述し、共有し、外部と未来に開いていくのかということは最重要な課題となるだろう。特に、創造に寄与する知識の記述と共有は、重要なテーマとなる。
このような創造社会においては、創造を支える新しいメディアが求められ、重要な役割を果たすことになる。そのようなメディアを、僕は「クリエイティブ・メディア」(Creative Media)と呼んでいる。
このようなクリエイティブ・メディアとして僕が有力視しているのは、「パターン・ランゲージ」だ。パターン・ランゲージは、創造における実践知を記述する言語であり、それが人々の創造を支援するメディアとなるのである。
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