パターン・ランゲージ3.0とは (新バージョンの説明)

2013.02.16 Saturday 08:44
井庭 崇


僕は、パターン・ランゲージの進化を、「3つの波」で捉えている。ここで「波」と呼ぶのは、このパターン・ランゲージの進化が断絶的な移行を意味するのではなく、段階が進むごとに新しい特徴が加わっていく加算的な発展であるためである。

そして、これらの波それぞれに、便宜上の名前をつけている。アレグザンダーによって提案された建築分野でのパターン・ランゲージが「パターン・ランゲージ 1.0」、その後ソフトウェアの領域に輸入・展開されたときのものが「パターン・ランゲージ 2.0」、そして、人間活動のパターン・ランゲージが「パターン・ランゲージ 3.0」である。

この3つの波は、「デザインの対象」「デザインの特徴」「ランゲージの使い方」という3つの視点で比較することで、それぞれの特徴が明らかになる。

image[PL3small.jpg]

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1. デザインの対象

3つの波を捉える第一の視点は、「デザインの対象」である。まず、パターン・ランゲージ 1.0では、建築という「物理的なもの」がデザインの対象であった。

そして、パターン・ランゲージ 2.0では、ソフトウェアや組織という「非物理的なもの」が対象として加わった。

パターン・ランゲージ 3.0では、人間活動がその対象になっている。具体的には、学び、教育、プレゼンテーション、コラボレーション、組織変革、社会変革などである。

パターン・ランゲージ 3.0における最大の特徴は、デザインする対象(客体)がデザインする主体自身であるということである。パターン・ランゲージ 1.0やパターン・ランゲージ 2.0では、そのデザイン対象はあくまでもデザイン主体とは別のものであった。しかし、パターン・ランゲージ 3.0では、デザインの主体自身がデザインの対象となる。このことが「デザインの特徴」と「ランゲージの使い方」にも大きな影響を及ぼすことになる。

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