パターン・ランゲージ3.0とは (新バージョンの説明)

2013.02.16 Saturday 08:44
井庭 崇




2. デザインの特徴

第二の視点は、「デザインの特徴」である。パターン・ランゲージ 1.0のデザインでは、建物や街をデザインする段階と、そこに住人が住むという段階を明確に区別することができる。つまり、デザインの事前と事後がはっきりしているのである。

もちろん、パターン・ランゲージを考案したクリストファー・アレグザンダーは、住人が建物や街を漸進的に育てる重要性を強調してはいた。しかし、建物や街という「物理的なもの」は、一度つくられてしまうと、それらを全面的につくりなおすことは極めて困難であるため、デザインの事前と事後には「切断」があると考えられる。

パターン・ランゲージ 2.0のデザインでは、デザインは断続的に繰り返される。ソフトウェアという「非物理的なもの」を、全面的につくりなおすことは、物理的なものと比較すれば、はるかに容易である。そのため、「バージョン・アップ」と「リリース」というかたちで何度もデザインのやり直しが発生する。このように、デザインは断続的に繰り返されることになる。

パターン・ランゲージ 3.0のデザインでは、継続的にデザインが行われる可能性がある。人間活動のデザインでは、1ヶ月毎でも、1週間毎でも、1日毎でも、デザインをして実践することができる。人間活動のデザインの場合には、自分で自分の行動をデザインすることになるので、デザインと実践はかなり密接につながり、その境界も曖昧になる。こうして、パターン・ランゲージ3.0では、継続的なデザインが可能となるのである。

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