Creative Reading:『小説、世界の奏でる音楽』(保坂 和志)

2015.01.17 Saturday 22:11
井庭 崇



僕は、そのときどきのテーマのパターン・ランゲージをつくりながら、同時に、パターン・ランゲージとは何なのか、どのようにパターン・ランゲージをつくることができるのかについて絶えず考えている。そして、パターン・ランゲージをより知ってもらったり、活用されたりするためにはどうすればいいかも考えている。これを先ほどの「奉仕」という言葉で表現するならば、奉仕していると言うことができるのではないか。

成果だけでなく、同時にそのつくり方もつくることの重要性は、僕もこれまで考えていたけれども、「奉仕」ということは考えていなかった。でも、これ、とても大切なことだと思う。


ハイデガーを取り上げた章で、次のようなことが書かれている。

人間が芸術を作るのではなく、芸術によって人間が作るようにしむけられる。とはいっても、ただ子どもが大人に言われるままにわけもわからず何かをするような仕方ではなく、覚悟をもってその困難に進み入ってゆく (p.248)

このことは、宮崎駿が、映画をつくっているはずが映画の奴隷になってつくらされる、ということを言っているのと重なるし、僕自身が本気で何かをつくっているときの経験とも重なる。パターン・ランゲージをつくっているときも、パターン・ランゲージの記述が、まるでパズルのピースがぴったりはまるように、適切かつ生成力をもつようにつくっていく。

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