井庭研春プロ:パターン/スタイル・マイニングのための読書

2018.01.28 Sunday 20:58
井庭 崇


  •  今回、抽出したものは、レポートのようなかたちでまとめる必要はありません。読んだときに、 本に直接線を引き、書き込んで、付箋を貼ったりして、その本を春プロの集まりに持って来てください。その本を見ながら、みんなでどこをパターンで、どこがスタイルかを、一緒に話し合っていきましょう。

    パターンとスタイルの違いについて、もう少し理解を深めるために例示してみると・・・

     村上さんがよく語っていることに、書くときに、自分の奥深いところに降りていき戻ってくるというためには「体力が必要だ」と言います。それは、毎日コンスタントに書き続けるためにも重要です。そのため、彼は、毎日走り続けていて、マラソンもよく走っています。その「走る」ということと「書く」ということの関係について書いた本もあるくらいです(『走ることについて語るときに僕の語ること』 (村上 春樹, 文春文庫, 2010)これも興味深い本です)。
     そういうことを語っている箇所があったとき、「深い創作活動を行うために、体力をつけ、維持する」ということはパターン的です。それでは、「走る」ということは、どうでしょうか?書く人はみんな走るべきでしょうか?僕は、そうは思いません。泳ぐのでもいいでしょうし、サイクリングでもいいかもしれません。そこで、「書くための体力をつけるために、走る」というのは、村上さんのスタイルということになると考えられます。
    書くという実践において、「体力をつける」ということは、別様でもいいようなスタイルではなく、世の中にそれに当てはまらない人がいるとしても(病弱な著者)、基本的には、多くの人におすすめすることだと思うからです。それに対し、体力をつけるために「走る」ということは、体力をつけるためのいくつかの方法の一つの方法であり、実際に何をやるかは、人それぞれの好みや条件によるでしょうから、これはスタイルだと言えます。このように考えていくわけです。

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